MIerを目指して

以上のように、顧客業務の効率化を追及するかたちで大幅に対応範囲を広げたKCS Motionだが、今後はどのような方向で進化していくのか。

兼松コミュニケーションズ 執行役員 法人営業本部 本部長 竹井英明氏

こうした問いに対し、兼松コミュニケーションズ 執行役員 法人営業本部 本部長の竹井英明氏は、同社の軸足はあくまでモバイルにあり、今後もその姿勢は変わらないことを強調する。

「弊社が目指しているのはMobile Integraterという立場。SIer(System Integrater)やNIer(Network Integrater)のようにMIerという概念を確立し、その分野を牽引していきたい。それにより、現在1千万台と言われる法人向けモバイル市場を倍にまで拡大させたいという思いもある。そのために、KCS Motionも、回線/請求管理という幹にさまざまな枝葉を加え、顧客企業のさまざまな管理業務を効率化する基盤へと進化させていく」(竹井氏)

すでに、同社ではKCS Motionにとどまらず、モバイル管理をサポートするサービスを多く提供している。モバイル端末に電話帳を保持せずにネットワーク経由で参照する「KCSセキュア電話帳」や、携帯端末の購入や利用方法に関する問い合わせに対応する専用窓口を提供する「ヘルプデスク」、電話帳登録や各種アプリケーションのインストールといった携帯端末の初期設定をまとめて行う「スタートアップサービス」など、企業におけるモバイル活用に必要なサービスを増やしている最中だ。

さらに、NIer、SIer、アプリケーションベンダーとも手を組み、次世代のモバイル活用を見据えた基盤ソフトウェアの開発にも取り組んでいるという。

「この分野は今、各商社系代理店がひととおりそろい、値引き合戦がはじまろうとしている状況。しかし、例え安くても、それが使い勝手の悪い製品であったとしたら、顧客のためにならない。弊社はあくまでも顧客の業務を第一に考え、価値あるサービスを提供する方向で開発を進めていきたい。これは弊社が元々システム開発会社だったというバックグラウンドがあるからこそできることなのかもしれない」(竹井氏)

最後に西牧氏は、KCS Motionの次のバージョンにも触れ、「今回以上に大きな変更になるだろう」と笑顔で話した。詳細は明かされなかったが、総務部や経理部だけでなく、情報システム部の悩みも解決するような機能が搭載される予定のようだ。

MIerを標榜する兼松コミュニケーションズが、変化の激しいモバイル分野の未来をどのように読み、どのような構想を練っているのか。今から楽しみにしたい。