CPUとの接続概念

概念としては、CPUを中心として、HyperTransport(HT)により別のCPUソケットに挿されたアクセラレータに接続、その先にEcoRAMが配置されるというもの。ただし、DRAMがまったく不要になるか、というとそういうわけではなくOSをHDD/SSDから読み出すためにDRAMを接続する必要はあるが、「DRAMの容量はそれほど多くなくても問題ない」(同)としており、現在評価を行っている4Wayのシステムでも2GB×2の合計4GBしか搭載していないが、性能に影響はないという。

基本構成は1つのCPUに1つのアクセラレータ(この場合は2つのCPUに2つのアクセラレータ、その先に各8枚のDIMMという構成)

EcoRAMのソケットはDDR2コンパチとなっているが、アクセラレータとのやり取りされる信号は「特殊なソフトアーキテクチャを用いており、それをアクセラレータ側でDRAMに変換する」(同)という構成をとっている。

OSとしてはLinuxに対応。まず、先述のとおり、DRAM経由でLinuxを立ち上げ、その後EcoRAMのパッチを適用することにより、EcoRAMをDRAM的に使用することが可能となる。ちなみに、単にDRAMとして使用するほか、NOR型の特長を生かしてストレージ的にも使用が可能であり、OS部分以外のクリティカルなデータをEcoRAMに載せたまま使用することも可能で、現在、電源が急に落ちた場合などのデータの保持性についての評価を行っている最中だという。

2Wayと4Wayタイプを提供

提供システムとしては、1Uで1CPUに1アクセラレータの2Wayタイプのほか、2CPUに2アクセラレータの4Wayタイプを考えているが、場合によっては2CPUで1アクセラレータなどの構成なども可能という。ただし、OpteronがサポートするDIMMの枚数が1CPUあたり8枚なので、こうした構成はあまり意味がないと思われる。

また、4CPUの4アクセラレータによる8Wayなども考えられるが、そこまでいくと1Uに収まらなくなるため、要望次第では検討の余地はあるが、現状は考えていない、とのことである。

なお、4Wayの構成時のEcoRAMの能力は、最大で16枚(512GB)に対応し、リード性能はDRAMとほぼ同等となる4.0GB/s、ライト性能はSSD/HDDに匹敵する300MB/s、リードのレイテンシはSSD比で100倍高速となる250nsという。

ただし、これはアーキテクチャによる性能であり、実際にアプリケーションを載せて動作させた場合、アクセス次第によってパフォーマンスが変化するため、アプリケーションによっては最適化をする必要があるとのこと。

3つの属性を持つ市場を狙う

こうした制約があるため、同社では、市場展開として、「リード主体の作業」「低頻度なデータ更新」「パワー&フットプリント制限」の属性を持つ分野を想定しており、先の検索サーバのような"インターネットサービス分野"をメインにデータウェアハウスなどの"Business Intelligence(BI)分野"に展開を検討している。

また、そのほかにも、地震解析などの"Oil & Gas"、インテリジェント分析などの"Govermment"、遺伝子照合などの"Bioinformatics"といった分野でも活用できるものと見込んでおり、アプライアンス的な活用もできるとしている。

EcoRAMが狙う市場

同社では、「EcoRAMのソリューションは、最終的にシステムメーカーと組んでビジネスを行っていく必要がある。協力しあえるメーカーは多ければ多いほど良い、SIなどとも協力関係を築いていければ」(同)とする。

すでに12を超すサーバが北米、アジア(日本含む)地域のデータセンタや研究室で評価を受けており、さまざまな用途での適用性が検討されており、2009年の早い段階で正式な製品として提供が世界規模で開始される予定としている。

評価用の1Uサーバ(右がEcoRAMのスロットとアクセラレータ部分の拡大画面。実際にはアクセラレータにはヒートシンクが付くが、デモということで外したそうだ。ただし、低発熱のため、つけなくても実際にはあまり問題ないとのこと)