Von Tetzchner氏によると、Opera Miniのユーザー調査のトップ5は、PC経由のWebアクセスを集計したAlexaのランキングと強い類似性があるという。ユーザーは、携帯電話だからといって利用やアクセスを制限されると思っていない。PCにおけるローカルアプリケーションの利用は1998年には80%程度だったのが、2007年には15%と減少しており、Webアプリケーションの利用がローカルアプリケーションの利用を上回っている。PCではWebがプラットフォームになっており、モバイルでもこのトレンドは起こる、とvon Tetzchner氏は信じている。

「携帯電話など、ブラウザがさまざまな端末で利用できるようになり、境界があいまいになっている」とvon Tetzchner氏。そのような中、Operaはウィジェットが重要になると見ている。Von Tetzchner氏はウィジェットを「Web技術を利用してコンテンツをレンダリングし、HTML、CSS、JavaScript、Ajaxなどインタラクションを提供する」と定義する。ウィジェットは、すぐにアプリケーションにアクセスできるシンプルかつパワフルなアプリケーションで、「Webを前進させる」とvon Tetzchner氏。携帯電話のフロント画面に搭載すれば、高速なアクセスを提供できる。

Webのコンテンツはロングテールだが、容易なアクセスを提供することが必要とvon Tetzchner氏はいう。

Operaはウィジェットという構想がまだなかった2003年より、ローカルのネイティブコードとWebベースのコードを組み合わせることに取り組んでいる。2003年に提供したが、「市場がまだなかった」とvon Tetzchner氏。現在は市場があると見ている。

Operaは現在、「Opera Widgets」を提供しており、ウィジェットを容易に開発できる「Opera Widgets SDK」の提供、オペレータ向け管理ツール、エンドユーザー向けのWidgetsのダウンロードサイトを提供することで、ウィジェットのエコシステムを確立している。

2003年から提供開始した"モバイルAjax"構想。「ようやく市場が整ってきた」とvon Tetzchner氏

Opera Widgets SDKは、エミュレータ、デバイスAPIシュミレーションなどの機能を提供する開発ツールで、「Opera Dragonfly」を利用してオンデバイスデバッギングも可能。無料でダウンロードできる。von Tetzchner氏はここで、「Opera Mobile 9.5」のベータ版にOpera Widgetsを搭載したこと、SDKでデバイステストツール「Opera Widget Manager」が利用できることを発表した。

これにより、一般的なSDK、オペレータやOEM向けのカスタムソリューション、端末メーカー向けのデバイスSDKが揃うことになる。

もちろん、Operaのウィジェット戦略はPCと携帯電話にとどまるものではない。Opera Widgetsは、デスクトップではWindows、Linux、Mac OSに対応しており、携帯電話ではKDDIやT-Mobileなどが導入している。Wii、それに仏Archosのメディアプレイヤー「Archos 605 Wi-Fi」などで利用されているという。

Von Tetzchner氏は、「数年後、すべての電話、すべてのTV、すべてのメディアプレイヤー、機内エンターテイメントシステム、車などに一般的なブラウザが搭載される」とトレンドを語る。これがマスオーディエンスにリーチする方法になると見ている。

さまざまな携帯電話、デスクトップで動くOperaのウィジェット