環境の崩壊を防ぐため、温室効果ガスの半減を目指す

世界的に二酸化炭素は1秒間に870トン放出されており、人口は1日に20万人増えている。結果的に地球の気温が上昇傾向をたどり、環境の悪化などで生物種の絶滅も続いている。

10年以内に状況を反転させないと、おそらく環境の崩壊が起こる。最悪の場合は、5年以内に環境の崩壊が始まる。遅くても20年以内には始まるだろう。

強調したいのは、地球環境のアーリー・ウォーニング・システム(早期警戒システム)を早く作る必要があるということだ。ひとりひとりが地球環境全体を常にモニタリングして、現在の地球環境がどのような状況にあり、破壊がどのように進行しているのか、また、ソリューションがどのように作られて、どのようにそのマーケットが伸びていくかを、ほとんどリアルタイムで把握できなければ、問題を解決できない。

今年(2008年)の6月9日には日本の政治も動いた。「2050年までに温室効果ガスを6割~8割、削減する」と日本の全政党が表明したのだ。さらに7月の洞爺湖サミットでは、G8の首脳が「全世界で温室効果ガスを半減させる」ことで実質的に合意した。

2008年6月9日には「福田ビジョン」が発表された

国際エネルギー機関(IEA)も、2050年までに温室効果ガスを半減させることを目標に掲げている。さらに、そのために4800兆円を投資することを求めている。これが実現すれば、巨大な産業が出現することになる。

環境対策におけるITの役割

環境対策の手段としてITを見ると、地球環境において時々刻々と何が起こっているかを視覚的に把握できる可視化(ビジュアライゼーション)の技術が重要だ。また、環境悪化を抑制するソリューションを見出すうえでもITは不可欠である。ちなみに山本教授は、現在のコンピューターのビジュアライゼーション性能には驚嘆すると語った。

しかし、別の側面から見ると、IT自体が膨大な環境負荷を与えているのも事実だ。そもそも、我々の知識集約化が高まるほど環境への負荷が高まる。コンピューターを使う量が増えると、温室効果ガスも増えるのだ。そこで、環境と共生できる「グリーンIT」が課題となる。