ポルシェではなく、トヨタを目指す

日本の携帯電話の普及とその使われ方の現状を見れば、市場そのものが変わらなければ、Windows Mobileが食い込んでいく余地がないのではないだろうか。笹本氏は、「携帯市場は変わる」と告げる。

笹本氏 「ビジネスユースで言えば、Exchangeサーバーとの同期が強みなわけで、企業向けに対してやるべきところはまだまだあると思っている。一方で、コンシューマー市場でのWindows Mobile(スマートフォン)をどう見ているかだが……これは、ある人がおっしゃった言葉であるけれど、『iPhoneは車の世界で言えばポルシェだ』と。では、誰がトヨタになるのか。私はなりたいと思っています。3年、5年先かは分からないが、携帯はOS化していくと考えています。ただし、パソコンの世界で言えば、今のモバイルは、まだMS-DOSの時代。PCのOSがどんどんシンプルになっていったように携帯端末もそうならないといけない。そして、フライトシミュレータが面白いと思わせたように、コンシューマーに対してどうエンゲージしていくのかにある。"楽しい・面白い・便利"をどう感じてもらうかだが、『ニコニコメッセ』もモバイル上でできるように、またWindows Liveのモバイル機能も強化するなど活性化させていきます。APIやSDKを充実させていかないとモバイルの広がりはない気がしている。そこは、デベロッパーに対してのエバンジャライズや、開発環境の整備を積極的に行っていきます」

OS化しなければ、携帯市場のエコシステムが存続しなくなる

また、笹本氏が「携帯OS化」を予測するのは、Windowsブランドがこれから仕掛けてくるサービスや技術のロードマップを見ていて感じるだけではなく、携帯電話市場が行き詰った感があるからだとも言う。

笹本氏 「ここ10年で、携帯端末はキャリアに依存してきたためスケーラビリティがなくなってしまった。使われ方も"電話する・メールする・写真を撮る"の3つに絞られてしまっている。ここで変わっていかなければ、携帯市場のエコシステムが存続しないのではないか。スマートフォンだけをやっていけばいいと言うわけではないが、やはり拡張しやすいという利点は大きい。売り文句と言われればそれまでですが(笑) 個人的にも、市場のためにはモバイルの必要性そのものが進化していかないといけないと感じています」

立ちはだかる「日本のモバイル市場の壁」は厚そうだ。

「Life without walls - 壁のない世界へ」は、より快適なデジタルライフをWindowsで実現していくという。そのメッセージが意図するところをもう少し具体的に知りたい。プロダクツに関してはどうだろうか。