協議会では、これまで民間が行ってきた「点の取り組みを面に広げる」(中村教授)ことを目的としており、来年4月から活動を開始する予定だ。通信、コンテンツ、メーカーといった各企業に加え、教育機関、その他の一般企業、PTAなど幅広く横断的な組織の参画を呼びかける。ネット上の違法・有害情報といったインターネットの「影の部分」(同)への対応と、さらに「インターネット、携帯に光を当てた幅広い取り組みをする」(同)考えだ。
これまでの民間の取り組みは対処療法的で連携が不十分だった、地域的に偏りがあったなどの反省点を踏まえ、協議会では横断的に取り組みの底上げを行い、民間による自主的な取り組みの質・量を向上させることを狙う。
取り組みの柱は、(1)総合的なリテラシー向上の推進 (2)民間による自主的取り組みの促進 (3)利用環境整備に関する知見の集約――の3点。(1)では、高齢者や子どものリテラシー強化への取り組みやシンポジウムの開催などを実施。(2)では、「e-ネットづくり!」宣言(仮称)事業の展開により国民的な運動の実施や、サイトの自己評価(セルフレイティング)や第三者機関のレイティングの普及、(3)では機関誌の発行やポータルサイトの設置を行う。
国による行き過ぎた規制はマイナス
協議会は任意団体として15人程度の幹事会を設置。保護者・教職員などに対する支援を行うe-ネットキャラバンの実施といった実績を持つマルチメディア振興センターに事務局を置く。参加企業からは数人を派遣して取り組んでいくという。11月からは会員を募集し、来年1月の設立には企業や関連する活動を行う民間非営利団体(NPO)の参加も求め、150程度の会員の参加を目標としている。
基本的には民間主導の取り組みを行うが、関係官庁との連携も視野に入れ、大学研究機関や海外の機関とも連携することを想定している。
現時点で具体的な取り組み内容など詳細は決まっていないが、「ゆるやかな目標を共有」(同)してインターネットの健全な発展を狙っていく意向だ。
ソフトバンクモバイルの孫正義社長は、「青少年のために安心・安全に配慮した環境を整備するのはとても健全でいいこと」としつつ、「小中学生に携帯電話を持たせない、ネットに触らせないというような議論もあるが、それが行き過ぎて(国による)過度の規制になって、日本の若者が"ネット音痴"になるのは国際競争力でマイナス」と指摘。「民間で十分にバランスを考えながら、健全な(インターネットの)育成、発展を考えていくのが肝要」と話した。