NTTデータ経営研究所 社会・環境戦略コンサルティング本部 シニアマネージャー 大塚俊和氏 |
続いて、NTTデータ経営研究所 社会・環境戦略コンサルティング本部 シニアマネージャー 大塚俊和氏が、国内規制の行方と排出量取引を活用した企業戦略について解説。大塚氏によれば、我が国におけるCO2排出量規制に関して注意しなければならないのは、エネルギー使用量の報告を義務付ける「省エネ法」の改正と、CO2排出量の報告を義務づける「地球温暖化対策推進法(温対法)」の改正案だという。
省エネ法の改正では、規制の対象が事業所から事業者単位に変更。コンビニやチェーンストアなども規制の対象になり、事業者として年間エネルギー使用量が1500kl以上であれば、報告義務が発生。これにより、報告事業所がこれまでの10倍以上になる企業も出てくるという。
温対法の改正案では、排出権(京都クレジット)の活用を評価する条項が盛り込まれているという。また、政府の京都議定書目標達成のため、企業が京都クレジットを国へ償却した量を、当該企業のCO2排出量から差し引いた評価を行うことが明記されており、大塚氏は、これらは将来導入が想定されるCO2の総量規制において、京都クレジットの償却を自主的に行った企業への優遇措置の布石であるだろうと述べた。
そこで、その製品の製造から廃棄までにCO2の排出量を商品に記載するカーボンフットプリントや、排出権を排出権取引より購入し、その製品の製造や販売に関わるCO2をゼロにするカーボンオフセットを導入することを検討すべきであると語った。
そして、今後はカーボンオフセットにより「CO2排出量ゼロ工場」や「CO2排出量ゼロ輸送」ということが実現されるだろうと述べた。ただ、排出権の購入手続きには時間がかかるため、半年程度の余裕を見る必要があると述べた。