"面白がってもらうコンテンツ"を提供すること

映画タイトルの販促用に用意されたウィジェットでは、映画の世界観に合わせたパーツ作りや遊び心を持ったコンテンツ作りがキーとなっていた。例えば「ALWAYS 続・三丁目の夕日」では、iTunesに連動した昭和時代のラジオを再現。デザインだけではなく音質を時代に近づけるためにエフェクトを実装し、さらに音質にノイズ入れる演出を施したそうだ。昨年春の映画「ゲゲゲの鬼太郎」公開時に配布された"目玉おやじ"のデスクトップマスコットは、PC上で茶碗風呂に入ったり、時報と同時に利用者の名前を呼びかけてくれたりといったアクションをしてくれる。あるとちょっと楽しい、息抜きになるといった感じだ。

3DCGによるキャラクターを使ったアシスタントウィジェット(日興アセットマネジメント)。コメントとアニメーションで毎朝、励ましてくれる。イケメンキャラなども選べる

SQUARE ENIX MEMBERSの会員特典として配布するウィジェットは、「これまでになかった時計」をコンセプトに同社のデザイナーがデザインした。動画コンテンツとも連動

その他には、前日の売り上げランキングや欲しい商品の入荷お知らせを表示可能なスケジューラ(ゲオEショップ)、3DCGのキャラクターによる秘書が運用実績に合わせたコメントで励ますといった会員用サービス(日興アセットマネジメント)、ウィジェット利用者のCPU使用率を表示させ、その利用度に比例して植樹を行う(AMD)といったものなど企画はバラエティに富んでいる。この辺のひと捻りやこだわりのデザインが実現できるのは、ウィジェットエンジンのおかげだという。また、アイドルタレントを起用したアットホームのウィジェットでは、サーバ読み込みを利用し、期限内のみの画像素材の提供を行うことでタレント事務所側との肖像権の問題にも対応した事例となっている。なお、各社の事例詳細や配布リンクはアップフロンティアのサイトで確認できるので興味ある人は、ダウンロードして使ってみていただきたい。

アットホームのウィジェットでは、イメージキャラクターである相武紗季さんの画像と音声が楽しめる。画像をサーバから毎回読み込ませることで、PC上には画像のコピーをおかない。期限管理はサーバ上で行うため契約期間内での露出に対応可能という

ウィジェット企画、制作のポイントについて「機能としては、RSS、コンテンツ受信、モーション、認証などWEBでできることならばすべてできてしまうので、まずは、集客なのか、話題づくりなのかといった"何をしたいか"を明確にすることが不可欠。ブログ用にしてもデスクトップ用にしても、使いたい、使い続けたいと思わせるものをいかに提供するかにかかっている」とアップフロンティア花田氏。それには、ユーザ視点が外せないという。「企業HPやバナーなど従来のWEBコンテンツよりもユーザ視点を気にかけなければいけない。人の庭に置かれた看板に文句を言う人はいなくても、自分の庭に好みじゃない看板を置きたいとは思わないでしょう?」という例えはなるほどといった感じだ。

リッチコンテンツであること、PC上のいわゆるOne to Oneマーケティング型であること、そしてネットワークシステムを連動させたリアルタイム型であるといった特徴を活かしてどこまでユーザをワクワクさせることができるのか、またその次の行動を起こさせることができるのか。今後は携帯電話や家電などにも利用範囲が広がっていくというウィジェットサービスの動向は、ネット・トレンドとしても気になるところだ。