報道前に「二次被害防止対策」の確認が必要


杉浦社長は「二次被害対策なしでテレビで報道されれば、流出ファイルを"数万人"が入手する可能性もある」と話す

――報道機関などが報道する上で注意しなければならないことにはどんなことがあるでしょうか?

「報道することによる二次被害が起こる可能性があるが、二次被害防止の対策はしているか」と流出元の企業や官庁に必ず確認していただく必要があります。

対策をしていることを確認して初めて、報道すべきです。そうでなければ、マスコミはユーザーに情報を入手させる手助けをしてしまうことになりかねないのです。

もちろん、社会正義を実現する上で報道すべきケースがあるのは否定しません。ですが、二次被害が起こる可能性を常に念頭に置いていてほしいのです。

また、流出元の企業や官庁も、トップや責任者が「謝ったら終わり」ではないことを認識していただきたい。実は「謝った後」が大切で、どうやったら二次被害を防げるかを真剣に考えるべきです。

"最後の救済手段"となる「拡散防止サービス」


――「流出後」が大切なわけですね。では、報道機関に知らせる前に、どのような対策を行うべきでしょうか?

前に述べた流出を防ぐ方法に比べると、流出後の対策は「最後の救済手段」ともいえるわけです。

そこで、当社が開発したのが、技術的に流出を防ぐ「Winnyファイル拡散防止サービス」です。

どこに行けば漏洩ファイルが得られるかを、技術的に分からなくしてしまう「Winnyファイル拡散防止サービス」

漏洩したファイルについて、ファイルがどこにあるか、ファイル名、ファイルサイズなどを調べ、「ファイルを持っていない人が、持っているかのように見せかける」ことを技術的に実現します。

つまり、どこに行けば漏洩ファイルが得られるかを、分からなくしてしまうというサービスです。こうすれば、流出情報を狙うユーザーらも、容易にはファイルを得られなくなるというわけです。

このサービスにより、情報流出が公表される前であれば、99.9%の確率で流出ファイルが入手できなくなります。

ですが、こうした対策を行わないまま報道をすれば、流出ファイルは非常に入手しやすい状態のままになります。その結果、多くの人によって拡散してしまうことになります。