共通キャリア・スキルフレームワークへの準拠

共通キャリア、スキルフレームワークとは、前述の報告書が提言する、目指すべき高度IT人材ごとに必要なスキルを明確化した基準だ。これはITスキル標準(ITSS)、情報システムユーザースキル標準(UISS)、組込スキル標準(ETSS)それぞれが定義するキャリアやスキルを共通化しようというものであり、以下の7段階を想定している。

段階 クラス 人材像 対応する情報処理技術者試験
レベル7 スーパーハイ 国内のハイエンドプレイヤーかつ世界で通用するプレイヤー (なし)
レベル6 スーパーハイ 国内のハイエンドプレイヤー (なし)
レベル5 ハイ 企業内のハイエンドプレイヤー (なし)
レベル4 ハイ 高度な知識・技能 高度試験
レベル3 ミドル 応用的知識・技能 ミドル試験
レベル2 ミドル 基本的知識・技能 起訴試験
レベル1 エントリー 最低限求められる基礎知識 エントリー試験

情報処理技術者試験では、このうちレベル1-3とレベル4の一部をカバーする。レベル1-3は基本的に情報処理技術者試験の合否により判定し、レベル4は同試験と業務経験などで判定するとしている。

ユーザー企業も活用できる試験へ

2007年9月20日に産業構造審議会が公表した報告書「高度IT人材の育成をめざして」では、IT人材に関して、ベンダー・ユーザー企業の双方において情報技術を戦略的に活用できる人材が求められているとし、ベンダー側にはユーザー業務に深い知見を持つ人材が、ユーザー企業側にはベンダー側と同等レベルの知識・技能を持つ人材が必要だとしている。

これを受けて新試験制度では、ベンダー側とユーザー企業側双方に求められる人材像に共通した試験体系に改める。特に前述のレベル1、レベル2の試験では、出題範囲をテクノロジー系に加えて、マネージメント系およびストラテジー系までカバーし、ユーザー企業側でも活用できる試験にすることを目指す。

組込システム関連の変更

組込システムに関する変更は、国際競争力強化における組込システムの重要性の高まりに対応することを目的に、従来の特定の試験区分での出題から、より幅広い試験区分での出題に改める。

具体的には、午前の問題で幅広い試験区分で出題し、午後の試験では特にITストラテジスト試験やシステムアーキテクト試験、システム監査技術者試験などで選択問題として出題する。

高度試験の整理・統合

これまで11種類あった高度試験を、時代のニーズにより適合する能力開発の指標とすべく9種類に整理・統合する。詳細は図の通りだ。

現行制度における高度試験のうち7種類の名称は変わるものの、ほぼ新制度のレベル4の試験に踏襲される