情報処理技術者試験は2009年の春期試験から、大きく変わろうとしている。そこで今回は新旧の試験制度を対比しつつ、具体的にどのように変わるのかを解説する。
新試験制度の7つの特色
今回の試験制度改革は、2007年9月20日に産業構造審議会が公表した報告書「高度IT人材の育成をめざして」の内容に沿ったものだ。同報告書では、ITを取り巻く状況が
(1)ITが企業価値の中核へ浸透
(2)IT開発・提供の基本構造の変貌
(3)グローバルでシームレスなIT供給
と変化してきていることを指摘した上で、これらへの対応を誤ると、日本のIT産業競争力が長期的に低迷するおそれがあり、IT人材についての将来的な展望・戦略を、10年後を見据えた観点から描く必要があると提言する。また、インドや中国などIT新興国の急追を受けて、日本のIT人材をより高付加価値の職種にシフトするとともに、産業競争力を維持するためには世界のIT人材の有効活用を戦略に組み込むことが急務だとしている。
今後の日本が目指すべき高度IT人材として、構造変化に対応し変革をリードできる人材が必要であり、分野としては基本戦略系、ソリューション系、クリエーション系、グローバル系の4つを想定する。
そこで情報処理技術者試験は、共通キャリア・スキルフレームワークの下で、レベル判定の尺度に利用できることを目指して改革した。
新制度の特色は、以下の7点にまとめられる。
- 共通キャリア・スキルフレームワークに準拠したレベル判定ツール化
- 情報システムに対してベンダー側・ユーザー企業側それぞれが求める人材の統一
- 組込システムの重要性の高まりへの対応
- 高度試験の11区分から9区分への整理・統合
- 最新の技術動向を反映した出題範囲の抜本的な見直し
- 受験者の利便性向上
- ITパスポート試験(レベル1)の新設