中国では今、SNSが至るところで誕生、発展している。今年4月、SNS大手、千橡互動集団(Oak Pacific Interactive Corp)傘下の中国版Facebook「校内網」がソフトバンクから4億ドルもの大型融資を取り付けることに成功し、業界関係者を驚かせた。本稿では、中国におけるSNSの現状と今後のトレンドについて述べてみたい。

国外の成功モデルコピーが大半

将来、中国でのSNSの発展史を振りかえることがあれば、2006年が「SNS元年」とされる可能性が大である。この年の前後に、大量のSNSが次々に登場したからである。

2006年の1年間に、中国では100以上のSNSが誕生した。しかし、特に業界リーダー的な企業が存在するわけではない。国内のSNSの多くは、国外で成功したモデルを単にコピーしたものにすぎない。

大ざっぱに分類すると、現在の中国のSNSは、「娯楽型」「ビジネス志向型」「キャンパス型」などに分けられる。もちろん、これらは多くの分類基準の一つにすぎない。中国の業界筋では、以下のような分類をしている人もいる。

  1. 基本型 : 各種インターネットの応用モデルを含む。中には、比較的古くからあるコミュニティ、たとえばブログも含まれる。どちらかというと、主に20歳以下のミドル~ローエンドユーザー向けで、先に述べた「娯楽型」に近い。例えば、SNS大手の「51.com」「360圏」などがこの範疇に入る。

  2. 関係志向型 : この種のウェブサイトの特徴は、実際の人間関係を手がかりにして、アクティブプラットフォームを構築するところにある。代表的なものに、冒頭で触れた「校内網」、「海内」「同楼網」などがある。実在の人間関係を手がかりにユーザーを引きつけ、オンライン上でのアクションを喚起しようというものだ。しかし、本質的には上記の基本型と大きな違いはない。

  3. テーマ型 :ある明確なテーマを掲げるか、ある特定の範囲内で、ネット上の人間関係を作り、発展させようとするものだ。代表的なものにはビジネス人脈の構築を目指す「若隣」、育児をテーマにした「宝宝樹」、結婚や恋愛をテーマにした「佳縁」や「百合」などがある。これらの特徴は、ユーザーの現実的なニーズをとらえ、特定のテーマを掲げて出会いを演出することにある。

業界通は、中国におけるSNSの現状と特徴と優位性について、(1)膨大なユーザー規模、(2)親密な人間関係がもたらす影響力の大きさ、(3)しっかりと位置づけられたインターネットマーケティング、の3点で説明する。しかし実のところ、中国でアクセス数を増やすのはそれほど難しくはなく(1)が実現できたとしてもそれほど優位性はない。実現するのが難しいのは、むしろ(2)と(3)だ。