日本法人はゼロからスタート!

日本市場における展開について説明してくれたCodeGear マーケティングディレクターの藤井等氏

Embarcadero Technologiesはこれまで日本法人を持っていなかった。現在、日本のCodeGear関係者によってEmbarcadero Technologiesの日本法人の設立作業が進められている。これはほかの国や地域でも同じで、現地法人が存在していない場合には設立作業を、重複している場合には合併が実施される。日本では法人設立後に関係者がBorlandから移籍することになるようだ。

日本における展開としては、CodeGearがこれまで取り組んできた日本ローカライズの作業がEmbarcadero Technologiesのプロダクトやコミュニティに対しても展開されるということになりそうだ。Embarcadero Technologiesのプロダクトにはそれほどローカライズ版が存在していないため、この部分をより多く作業することになるだろう。

またプロダクト以外でもコミュニティの強化が注目されることになりそうだ。CodeGearではすでに英語以外のコミュニティとも積極的に関係を強化している。今後さらにこの取り組みを続けロイヤルカスタマやヘビーユーザの意見をダイレクトに開発計画に反映するようになる。この取り組みはEmbarcadero Technologiesとしても継続されることになるだろう。

CodeGearでは翻訳作業などを通じて国際的なつながりが強化されている点が興味深い。国や地域によっては英語からローカルへの翻訳は必要ないが、日本や韓国では逆にローカルへの翻訳が重要になる。この場合、英語から日本語へ翻訳し、日本語から韓国語へ翻訳するといった作業がおこなわれている。韓国語の場合、日本語からの機械翻訳の方が高い精度が見込めるため、日本における翻訳作業を待ってから韓国語への翻訳を実施するわけだ。こうした国際的なつながりが実現されているところもCodeGearの強みのひとつといえる。

注目の言語? 個人的にはDelphiかな(笑)

最近CodeGearが取り組んでいる新しい分野といえばRuby on Railsの開発をサポートする3rdRailがある。Railsはここ数年で一気に成長したツールだ。CodeGearとしてはこういった人気のツールを使った開発を支援するツールを開発するのが使命というわけだ。どの言語をサポートするかは常にウォッチして研究しているという。Embarcadero Technologiesと合併することでリソースが増え、今までよりも多くの開発が期待できそうだ。PythonやIronPythonなども人気があれば何らかの形でプロダクトが提供される可能性もある。

コミュニティや市場をウォッチしているAnders J. Ohlsson氏に、個人的に注目している言語はあるか質問してみた。顧客から要望を抽出してフィードバックする仕事を担当している同氏としては、個人的にどうのこうのという感情はないと前置きした上で「Delphiはやっぱり特別かな」とDelphiに対する思いを語ってくれた。高校時代にPascalを使い始め、BorlandにもDelphiのエンジニアとして就職した同氏にとってDelphiに対する思い入れはほかの言語にはないものがあるようだ。ちなみにCodeGearサイトにおける翻訳システムもDelphiで開発されている。

以前来日したCodeGear Vice PresidentのDavid Intersimone氏は、自身が開発者であり開発者であることを楽しんでいる風だったが、Anders J. Ohlsson氏も開発者はどこの国でも開発者らしく面白いと語ってくれた。開発者の血筋が色濃いCodeGearが、同じ社風を持つEmbarcadero Technologiesと合併したことは興味深いできごとだ。併合後のCodeGearの活躍に今後も注目していきたい。

CodeGear日本オフィスの前で。上のロゴがEmbarcadero Technologiesに変わる日も近い!?