6月9日、富山市の富山国際会議場において、「IBM環境シンポジウム2008」が開催され、午後のセッションでは「IBMが地球温暖化防止に取り組むこと」と題して、日本IBM 取締役専務執行役員 橋本孝之氏が講演を行った。
日本IBM 取締役専務執行役員 橋本孝之氏 |
冒頭橋本氏は「大気はとても薄いので、私たちはその組成を変えることができてしまうのだ」「明らかに、私たちのまわりの世界に、ものすごい変化が起きている」という、クリントン政権で副大統領を務めたアル・ゴア氏の言葉を挙げ、環境問題の深刻度を強調した。橋本氏によれば、すいかを地球に例えると皮の部分が成層圏で、大気は食品を包むラップの厚みしかないという。「そういう意味では、大気はかなり人間の直接的な影響を受けやすいものだ」(同)と述べた。
二酸化炭素の排出量については、2050年に1990年比で半減させることを目標に、世界各国は自国の目標値を設定している。しかし、自国だけではこの数字を達成できそうもないため、排出枠を国どうしで売買し、削減目標を達成しようとする動きがある。橋本氏によれば、その規模は2008年ベースで10兆円にも及ぶという。
日本でも、企業間の排出量取引制度を今年の秋から試験的に導入しようという動きがあるが、このような状況を踏まえ橋本氏は「低炭素社会は、単なるボランティアの活動ではなく、企業に変革をもたらすパラダイム・シフトになってくる」と述べた。