光源の開発が著しく進展
そのEUV露光システム開発の最新状況が、この5月16日に報告された。EUVAが、2007年度の研究成果に関する報告会を東京・品川で開催したのである。EUVAが研究成果の報告会を開催するのは今回が6回目で、最終の報告会になる。なお2004年度の研究成果報告会を大塚氏がレポートしているので、興味のある向きは参照されたい。
開会の挨拶に立ったEUVA専務理事の小川眞佐志氏は、EUVAの開発プロジェクトが始まった当初、日本の技術水準は世界レベルから2年程度の遅れがあったが、現在では世界レベルに追い付いたと述べ、研究の著しい進展振りを強調した。
続いてこの3月末までプロジェクトリーダーを務めた物質・材料研究機構フェローの堀池靖浩氏がEUV露光技術開発の具体的な進ちょく状況を概観した。まず光源である。光源には、レーザーでプラズマを生成して軟X線を発生させるLPP(Laser Produced Plasma)方式と放電でプラズマを生成するDPP(Dicharge Produced Plasma)方式があり、EUVAでは両方式とも研究を進めてきた。いずれも量産化には、集光点出力(実効的な光源出力に相当)で110Wが必要とされる。
LPP方式の光源開発では、60Wと世界でトップクラスの集光点出力を実現したという。2004年9月の開発当初は5.7Wの出力しかなかったことを考慮すると、開発が急速に進展したことが分かる。変換効率は2.5%である。レーザー出力を高めるとともに変換効率を4%に向上させれば、量産レベルの集光点出力110Wを十分に狙える。
DPP方式の光源開発では、計算上で62Wの集光点出力を達成できるところまできた。ただし現在は光源のサイズが大きいという課題を抱えている。光源を小さくし、点光源に近くする必要がある。
露光実験で24nmを解像
またキヤノンが開発した小面積露光装置(SFET:Small Field Exposure Tool)が、24nmと微細なL&Sパターン(線幅と線間隔が1対1の直線状配線パターン)を解像できたことを示した。このSFETはEUVレジストとEUVマスクの開発用に解像実験を重ねており、これまでに露光パルスを打った回数は6,500万回に達する。なお光源はDPP方式である。
さらにニコンが開発したフルフィールド露光のアルファ(α)機(技術開発用露光装)「EUV1」が2008年1月から静止露光を開始した。静止露光によって28nmと微細なL&Sパターンとコンタクトホール(CH)のパターンを解像できた。28nmのCHパターンは、露光装置の最大手ベンダであるオランダASMLのα機をしのぐ成果だという。EUV1はスキャン露光の実験を近く始める予定だとしている。なおEUV1の光源はDPP方式、集光点出力は3W、露光領域(フィールドサイズ)は26mm×33mm、投影光学系の反射鏡の枚数は6枚である。
SFETとフルフィールド露光装置の違い。光学系と露光領域(フィールドサイズ)、使用目的が大きく異なる(NEDO技術開発機構の2007年5月30日付け記者会見資料より) |
周辺技術とインフラストラクチャの開発状況(研究成果報告会の資料から、EUVAの許可を得て掲載) |
最後に、この2月に開催されたリソグラフィ技術の国際会議「SPIE Advanced Lithography」から、EUV露光技術の進展の様子をまとめて紹介した。