コンシューマ向けのフラッシュメモリで知られる米SanDiskが、エンタープライズ分野にも参入しようとしている。手軽で便利なフラッシュメモリドライブは、ビジネスユーザーも日常で利用しており、この土壌を生かそうというものだ。
イスラエルCheck Point Software Technologiesが4月15日 - 16日、チェコ・プラハで開催したユーザーカンファレンス「Check Point Experience 2008 EMEA」では、SanDiskがCheck Pointと共同開発中というエンタープライズ分野の製品を披露していた。本稿ではSanDiskでエンタープライズ部門マーケティング担当シニアマネージャを務めるDror Todress氏に、同社のエンタープライズ分野における展望について話を聞いた。
--エンタープライズでの取り組みを教えてください。
SanDiskはご存知のように、コンシューマ向けのフラッシュドライブで最大手です。USBドライブはもちろん、携帯電話やカメラ向けでもシェア1位を占めています。
昨年、エンタープライズ事業を立ち上げました。コンシューマ分野で成功したフラッシュメモリ技術をベースに、法人分野に拡大するためです。
現在、エンタープライズ分野の製品としては、安全性を特徴とするフラッシュメモリ「Cruzer Enterprise」があります。ハードウェアベースで、ドライブ内にあるチップにより256ビットのAESで暗号化処理を行います。パスワードを何度も間違って入力するとロックされてしまうロックダウンモードなどの機能もあり、紛失や盗難の際も、データは安全です。利用は簡単で、PCに差し込むだけのプラグアンドプレイで起動します。
最大の特徴は、管理機能「Central Management and Control(CMC)」です。ドライブのライフサイクル全体を管理するもので、実装、割り当て、プロビジョニングを管理します。エンドユーザーがPCにドライブを差し込むと、サーバと通信しプロビジョニングが行われます。運用中は、パスワード管理、バックアップ、アプリケーション配信などを行い、盗難にあった際にはサイクルが終了します。これは、"ポイズンピル"と呼ばれる手段を使って、Web経由でドライブを終了するというものです。紛失しても、サーバ側にバックアップがあるので、新しいドライブに同じ情報を入れて渡すことができます。
これだけではありません。今月初めに米RSA Securityと提携し、RSAトークンをソフトウェアとしてドライブ内に入れました。ドライブをPCに差し込むと、ワンタイムパスワードを生成し、これを利用してVPNクライアントなどのアプリケーションにアクセスできます。バックグラウンドでは、CMCがRSAサーバにアクセスし、トークンを取得してドライブに実装し、同期を図ります。セキュリティと2ファクタ認証を組み合わせることになり、高いレベルのセキュリティを実現します。