--Windows Server 2008の特徴であるHyper-Vや、NAP(ネットワークアクセス保護)による取り組みはどう考えていますか。
五十嵐 NAPに関しては、ワーキンググループを設置し、これまでの3カ月間に渡る活動の成果が出始めています。これは、パートナーとの連携を強化しながら、大きな特徴として訴求をしてきたと考えています。またHyper-Vでも、同様にワーキンググループを作り、仮想化に向けた普及活動に取り組んでいきたいと考えています。マイクロソフトは、この分野に後から参入してきたわけですが、日本における仮想化は全サーバの3%程度であり、この状況から見れば、後発という表現は当てはまらない。むしろ、これから仮想化への動きが始まるという段階にある。仮想化によるメリットを訴求するとともに、パートナーとの連携による技術検証、導入事例の紹介、協業の加速といったように、あらゆる観点から仮想化への取り組みを強化したい。
--Visual Studio 2008では、今後、どんな戦略に取り組みますか。
市橋 Visual Studio 2008は、パッケージを2月に出荷して以来、好調な出足となっています。これをきっかけに、最新の.NET Frameworkである.NET Framework3.5の環境を浸透させていきたい。まだ、日本では、.NET Framework1.1で留まっているユーザーが多い。.NET Framework3.5や3.0によってもたらされる世界を、ぜひ多くの方々に体験していただきたい。最新の.NET Frameworkの利用率を欧米と遜色がないレベルにまで、早期に到達させたいですね。つまり、少なくとも半分以上のユーザーが最新の環境で利用しているという状況に引き上げたい。Sliverlightは、それを促進する重要なツールになります。PCへの実装率も高まるでしょうし、北京オリンピックをきっかけとして高品質映像へのニーズも高まりますから、それによる新たなウェブアプリケーションに対する要求の高まりも期待できる。一方で、SQL Server 2008に完全対応したツールとして、開発者にもたらす大きなメリットを提供したいと考えています。Visual Studio 2008は、マイクロソフトの開発製品としては、過去最高規模のビジネスを目指したいと考えています。
--Windows Server 2008およびSQL Server 2008の最初のゴールはどこに置きますか。
五十嵐 年内中に、多くのエンジニアの方々に、Windows Server 2008を、「触った」、「使った」、「評価した」と言われるようにしたい。UNIXやLinuxのエンジニアにも、同様に多くの方々に体験していただきたい。これが最初の目標となります。もともとサーバOSというのは、情報システムのライフサイクルやアプリケーションの更新のタイミングにあわせて導入されるケースが多く、新OSが出たからすぐに導入を決定するというものではなかった。しかし、Windows Server 2008では、NAPやHyper-V、リモートゲートウェイというように、ユーザー、エンジニアがすぐに使ってみたいと思う機能が多い。これまでのサーバOSとは、まったく別の捉え方から導入が始まる可能性もある。立ち上がりが、極めて早いサーバOSになるともいえます。それにあわせてビジネスの速度を加速したい。一方、SQL Server 2008も、技術者の心をくすぐるような機能が満載されていますから、それをもっと多くのエンジニアに告知したい。
Oracleマスターを対象にしたセミナーを開催していますが、どの地域でも、すぐに定員が埋まってしまうという人気ぶりです。セミナーの内容に対する満足度も極めて高い。テーブルデスクトップなどの「オラクル用語」を用いて説明しているのも、エンジニアの理解を高めているようです。私はここで、オラクルから乗り換えてくれ、ということは言わない。いまエンジニアにとって、OracleとSQL Serverの両方を知っていることは必要不可欠ではないでしょうか。つまり、Oracleエンジニアからデータベースエンジニアになろうという提案なのです。実際、Oracleマスターからも、SQLを理解するいい機会になったという言葉を聞いています。こうした活動を通じて、SQL Serverのメリットを知っていただき、それを活用できる領域では、ぜひSQL Server 2008をご活用いただきたいと考えています。具体的な販売目標の数値は言えませんが、より多くのエンジニアが、Windows Server 2008およびSQL Server 2008を活用していただけるように努力していきたいと思います。