Hyper-Vは、ハイパーバイザー型の仮想化技術であり、仮想マシン上でx64 OS、64GBのメモリ、マルチコアに対応しているという特徴がある。仮想マシン上での稼働に完全対応するOSは、RC0の時点でWindows Server 2008/2003 SP2、Windows Vista SP1、Windows XP SP3、SuSE Linux Enterprise Server 10 SP1だが、これ以外のOSでもエミュレーションされた仮想マシン上で動作可能となっている。
「マイクロソフトが過去に提供してきたVirtual Server 2005 R2による仮想化と比較して、3MB程度の非常に小さなモジュールによる薄い膜の上に、管理OSとゲストOSが並ぶような形になっています。ハードウェアに非常に近い位置で動くため、セキュリティとパフォーマンスの向上が実現できます。また、他社が採用しているMonolithic hypervisorと違い、弊社で採用したMicrokernelized hypervisorではHypervisor層にはドライバ等をもつ必要がないため、管理OSに対応したハードウェア上で簡単に利用できる上に、シンプルなパーティショニング機能の実現などのメリットがあります」と田中氏はHyper-Vの従来方式に対する優位性を語った。
また、アーキテクチャに関しては「hypervisor層の上で、管理OSとゲストOSのカーネルモードとユーザーモードが互いの領域を守って稼動する形になります。アプリケーションとハードウェアの通信はVMBusを経由して行われる形になります。このVMBusがあることで、非常に高パフォーマンスの環境が提供できるのです」と語った。
デモンストレーションにおいては、Hyper-Vのセットアップ解説に加えて、スナップショットなど各種機能の解説が行われた。全体的にGUIでの簡単な操作、ウィザードによる分かりやすいガイドなどが強調され、それぞれの操作がリアルタイムに反映される様子が強調された。特に、実際にデモンストレーション中に行われたベンチマークでは、あらかじめ取得されたバーチャルサーバが全く稼動していない状態と、Hyper-V上で稼動中の仮想OSのベンチマークが比較された。「CPU、メモリに関しては仮想OS上でも遜色ない数値になっている。さらにハードディスクのスループットに関しては、仮想OSの方が高い数値が出ている。これは、Hyper-Vがパススルーディスクをサポートしているから。仮想OS1つ1つに専用の仮想ハードディスクが用意されているような状態であり、非常に高スループットが実現できます」と田中氏はそのパフォーマンスの高さを強調した。
「サーバ仮想化は、物理サーバの集約やハードウェアリソースの有効活用、業務量の変化などへの柔軟な対応の実現などによって、データセンター環境の革新を実現します。また、テスト環境は開発環境おけるコスト削減と柔軟性の確保、サーバハードウェアの統合によるコスト削減と一見管理の実現、展開スピードアップによる柔軟で堅牢なIT基盤の実現など、非常に大きなメリットを提供します」と、Hyper-Vを活用したサーバ仮想化のメリットが強調された。