本稿では、セイコーインスツルから最近発売された電子辞書SR-S9000をご紹介します。私は長年、英語学習者として、そしてビジネスパーソンとして電子辞書を使ってきました。いろいろなメーカーから電子辞書が発売されていますが、これまでは「どんな辞書が搭載されているか」が、辞書選びの基準だったように思います。英語の専門家向け、ビジネスパーソン向け、エンジニア向け、大学生/高校生向け、あるいは中国語などの英語以外の言語、といった分類で搭載辞書がセレクトされていました。しかし、辞書といってもそんなに種類があるわけではないので、辞書のラインナップだけを電子辞書の特徴にするには限度があります。電子辞書が今後どのような方向で特徴を出していくのか興味深く見守っていましたが、このSR-S9000を触ってみて、どうやら3つの方向性があるように感じています。
3つのお話の前に、まずはこのSR-S9000の基本機能から見ていきましょう。SR-S9000は英語を重視した辞書の構成になっています。英和辞典は、「ジーニアス英和大辞典」「リーダーズ英和」「リーダーズ・プラス」、そして「英和活用大辞典」が入っており、十分過ぎるくらい実務に使えるレベルです。さらに日外アソシエーツの「180万語対訳英和・和英大辞典」「人文社会37万語英和/和英大辞典」が専門用語を補強してくれます。和英辞典は研究社の「新和英大辞典」です。このようにビジネスパーソンの使用にも耐える布陣です。気になる英英辞典は、オックスフォードの辞書が4冊入っています。コロケーションの辞書も含まれているのが特徴でしょうか。「国語辞典」(大辞泉)、「漢和辞典」(新漢語林)、「百科事典」(ブリタニカ)、「日経経済ビジネス用語辞典」など、日本語関連も充実しています。
電子辞書の機能面ですが、画面は大きく、文字は美しく、文句のつけようがありません。「ツイン検索機能」という、2つの辞書を同時に引いて見比べる機能は便利ですね。