中国で今、インターネット家計簿「網絡記帳」を利用する人々、そして同家計簿サービスを提供するサイトが増殖している。本レポートでは、ネット家計簿が中国で人気を集めている背景を紹介しながら、使用者の経験談などを通じてその利用実態を明らかにしたい。

今年1月に11年ぶりの物価上昇を記録

中国では、2007年5月から、豚肉や食用油類など食料品価格の大幅な値上げに伴い、消費者物価指数(CPI)が上昇、年間と月間の上昇率でそれぞれ最高記録を更新している。中国国家統計局の発表によれば、昨年1年間だけでCPIが4.8%上昇した。これは、1997年以来最も高い年間上昇率である。また、今年1月のCPIも前年同期比で7.1%上昇しており、1996年9月に前年同期比で7.4%増を記録して以来、実に11年4カ月ぶりの高水準に達している。

1月におけるCPI上昇率の大幅増について、中国国家統計局総経済師の姚景源氏は三つの要因を指摘している。第一に、春節(旧正月)前の値上げだ。中国では、毎年春節前に食料品価格が値上げされるのが慣例となっている。今年の春節は2月7日だったため、値上げが1月に集中したというわけである。

第二は、大寒波による押し上げ効果だ。1月中旬以降、50年ぶりの大寒波が中国中南部を襲い、豚肉や野菜などの農畜産物生産から輸送に至るまで大きな被害を受けたため、食料品価格が押し上げられたというわけである。

第三は前年同期(2007年1月)のCPI上昇率が2.2%という低水準にあったため、今年1月の上昇率がことさらに目立ったということが挙げられる。姚氏は、今年上半期は引き続きCPIは高水準で推移するが、下半期には経済政策の引き締め実施により抑えられることになるだろうと予測している。

中国の中央銀行である中国人民銀行は、2月22日に「2007年第四四半期貨幣政策の実施報告」を発表し、2008年の上半期において、CPIが引き続き高い水準を維持すると見ている。中国社会科学院など権威ある研究機構も、中国国家統計局や中国人民銀行と同じ見方を示している。