ITプロジェクトのほとんどは失敗に終わっている!?
システム開発における「成功」とは、ユーザーが求める機能を満足できる品質(Quality)で、同意された予算(Cost)で、決められた期日(Delivery)までに提供することであると、一般には言われている。
しかし、「企業IT動向調査2006」(社団法人 日本情報システム・ユーザー協会)の調査によれば、QCDを踏まえて「システムの仕上がりに満足」と回答したユーザーは、10%前後にすぎない。つまりほとんどどのプロジェクトは、何らかの欠陥を抱えた"失敗プロジェクト"だということである。ITがビジネスをEnableする存在であることが明確となっている今日において、システムが経営、さらには社会に及ぼす影響を考えると、この結果は重大な損失であると言えるだろう。
昨今のシステム開発プロジェクトにおいては、厳しく選別されるIT予算、ビジネスを取り巻く外部環境の急速な変化に伴う納期短縮化など、予算(C)および期間(D)の点で、プロジェクト開始時点から非常に厳しい制約や、高いハードルを設けられていることが少なくない。
また、これらの厳しい制約やハードルを乗り越えて、何とかデリバリした後においても、業務要件を充足できていない、性能が十分ではないなどの品質(Q)に起因する欠陥により、現場から頻繁に繰り出される改善要望に、対応していく必要がある。しかも、"戦略的なIT投資"というかけ声のもと、ぎりぎりまで絞られた保守予算で、さらには、経営層からの厳しい投資対効果に対する要望にも対応していかなくてはならないのだ。
このようにトレードオフの関係にあるQCDのバランスを取ることは、非常に難しく、日々奮闘されているプロジェクトマネージャの方も、非常に多いのではないだろうか。
なぜ、プロジェクトは失敗するのか? - プロジェクト管理に王道なし
なぜプロジェクトは失敗するのか --- その原因はいろいろと推察できるが、そもそも前述の通り、「ITプロジェクトは失敗する確率の方が高い」ということを前提にしたプロジェクト管理が行われていないことに、大きな原因があるのではないだろうか。端的に言えば、ITプロジェクトは、何も工夫せずに普通に推進したのでは、ほぼ間違いなく失敗するということである。ではどのように工夫すればITプロジェクトを成功へと導くことができるのだろうか。
それには、やはりPMBOKなどでも定義されている通り、プロジェクト運営において、管理すべき領域をしっかりと把握することが重要である。プロジェクト管理として実行すべきフレームワークを、まずはしっかりと規定し、日々実践していくことが、プロジェクトを成功に導く第一歩であると考える。