国と関係が良い3~5社のみが生き残る?

特に再投資、または上場を目指す場合に、投資者にどう説明できるのかという難題がある。ベンチャーキャピタルが投資先の企業から資金を回収しようと思えば、企業が買収されるか、上場させるかしかない。だが、実際のところは、国家資本がどのくらい出資して動画配信サイトを買収しようとするか、あるいは買収する用意があるかについて、投資家たちには見当がつかないというのが現状だ。株主構造が複雑化すれば、上場の可能性自体が小さくなる。下手をすると、これまでに投入した数千万ドルの資金の元を取れずに終わる可能性すらあるのだ。

少なくとも、当面多くの投資家は事態を静観するだろう。中国の動画配信業界全体への評価がある程度下がることは避けられない。既にベンチャー資金を得た企業は、なんとか政策リスクを回避しようと努めているだけだが、資金支援をいまだ得ていない企業や、現在商談中の企業にとっては極めて深刻な事態となっている。

だが、IT業界の調査・コンサルタントを行っている易観国際(Analysis International)の首席アナリストである符星華氏は、今回登場した動画管理規定は特に目新しい規定ではないと言う。同氏によれば、2004年に「インターネット等情報ネットワークでの動画配信管理弁法(互聯網等信息網絡伝播視听節目管理方法)」が施行されたが、今回の動画管理規定は同弁法の原則と現在のインターネット動画配信市場の状況を考慮し、加筆変更を行ったものだ。符氏は逆に、動画管理規定が市場の秩序を整理し、市場の長期的かつ持続的な発展を助ける可能性が高いとさえ述べている。

そうした意見があるにせよ、動画管理規定は2008年が始まって早々に中国の動画配信サイトに押し寄せた大試練である。と同時に、全世界の投資家にとって忘れがたい教訓ともなった。海外の投資家は中国の「政策リスク」を改めて認識し、投資戦略の見直しを始めるきっかけになったからだ。いったん資金の流れが止まれば一部の企業は間違いなく息絶える。まもなく、3~5社程度の、国と良い関係を持つ企業だけ生き残り、そのほかは倒れてしまうだろう。