日本では、グリーンデータセンターを推進する理由として"社会に対する責任感"との回答が74%と他の地域と比べ高いものの、"コスト削減"と答えたのは23%と世界平均に倍近い差をつけられている。「グリーン化は、環境に対して優しいという面が強調されるが、営利を追求する企業としては、コスト削減という部分も重要視するべき。グリーン化によりコスト削減が可能になるということを日本は意識するべき」と、朝倉氏は述べる。また、グリーン化へのアプローチに対しては、"サーバの統合"が高いのはもちろんのことだが、それ以外の選択肢が他地域に比べ少なく、「特にサーバの仮想化および遠隔制御ポリシーの導入で遅れている。資産を有効利用しようという意識が低いのではないか」(同)と指摘する。
"データセンターの電力購入は、企業全体の電力の購入にどの程度の影響力を及ぼしているか"との質問に対して、日本は7%が影響力を及ぼさないと答えたのに対し、世界平均では27%が影響力を及ぼさないと回答している。これについて、朝倉氏は「欧米の企業では、電力を独自に購入する独立採算の割合が高い。そのため、機器選定やサプライヤの選定をよりシビアに見ているのではないか」と推測した。一方、サーバの電力消費の計測については、日本では1週間に1回行っているとの回答が多く、他地域と比べ頻繁に行っていることが明らかになった。
"データセンターの電力消費を削減するのに有効な技術は"との質問に対し、日本では"電力効率の高いCPU"や"マルチコアプロセッサ"といったハードウェアに関する回答の比率が他地域に比べ高かった。一方、アジア太平洋地域や世界平均では、"仮想化/統合"や"電力効率の高いコンピュータ電力供給コンポーネント"との回答が日本に比べ高くなっていた。また、"社内のグリーンITポリシーを支持してきたか否か"との質問において、日本は支持しないとの回答が半数を超していた。これに対し朝倉氏は「実際の機器購入における意思決定に(この比率が)影響を及ぼしているのではないか」とし、ハードウェアに対する依存度が高いために、グリーン化が遅れているとの考えを示した。
なお、米Symantecならびにシマンテックでは、グリーンデータセンターへの取り組みとして、サーバやストレージの使用効率の向上、ソフトウェアのネットワーク配信などを行っている。特にストレージの使用効率は一般的に30%程度と低く、これを改善するだけでストレージ数を減らすことができるようになるため、同社でも効率改善を実現するソフトウェアの提供を行っている。また、サーバは仮想化により物理的な数を減らすことが可能で、「サーバの仮想化に取り組む企業は、年々倍増する勢いで増えて」(同)おり、仮想化ソフトウェアもVMwareやCitrix XenServerなどのほか、Microsoftも本格的に仮想化への取り組みを進めるなど、盛り上がりを見せてきている。今後も仮想化に取り組む企業の増加が予想されることから、「日本でも仮想化しても問題は生じないと分かれば本格的に普及するはず」(同)と、日本における普及の可能性を言及した。