「フレックスワークプレイス制度」導入の中心的役割を果たした日本ヒューレット・パッカード 人事統括本部 人事企画・コミュニケーション本部 主任 松村安名氏 |
2007年11月1日から「フレックスワークプレイス制度」と呼ばれる制度を新たに導入した日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)。この制度は、全社員を対象に、1カ月に数日間、1日の全就業時間または一部の時間の自宅勤務を認めるもので、この制度により、通勤時間や移動時間に伴う身体的/精神的負荷を軽減し、仕事の生産性を高めると同時に、多様な働き方による優秀な人材の確保を図るのが目的だ。
日本HPでは1990年代後半から育児/介護のための在宅勤務制度を導入してきた。今回の制度も在宅勤務という点では従来の制度と同じだが、同社人事統括本部 人事企画・コミュニケーション本部 主任 松村安名氏は両者の違いを「従来の制度が家庭内で育児/介護を必要とする社員のためのものであるのに対して、今回の制度は"働き方の多様性"という観点から取り入れられたもの」と説明する。
日本HPでは、2000年からすでに"フリーアドレス制"が採用され、現在では約半数の社員が固定席ではなく、所属事業所以外のフリーアドレス席や貸しオフィスなどを含むいろいろな場所で仕事をするスタイルが採られているという。つまり、今回の制度はその"選択肢"のひとつとして"自宅もオフィスに"という考え方の下に導入に至ったもので、従来からある在宅勤務制度とはまったく違った視点での人事制度として位置づけられている。「フレックスワークプレイス制度」と名づけられたのも、双方を区別する意味があるという。
また同制度は、適用される職種等に制限はなく、理由にかかわらず誰もが利用できる点が特長だ。希望者は部門長の承認が得られれば、在宅で勤務することが可能になる。申請書の提出が必要な育児/介護に伴う在宅勤務制度と比べると、より手軽に使えるよう配慮され、特に申請書などは用意していない。各部署内での判断に任せるのが原則だといい、「申請書を作成するという話もあったが、活用の妨げになることを懸念して、できる部署から活用していくという方針で制度を導入している」と松村氏は付け加えた。