国土交通省が行った調査では、日本におけるテレワーカー人口は、雇用型が506万人、自営型が168万人で合計674万人に及ぶ。テレワーカー比率を見ると、雇用型は9.2%、自営型が16.5%で全体で10.4%を占めることになる。これに対して、政府のIT戦略本部は2007年5月29日に「テレワーク人口倍増アクションプラン」を採択し、2010年までにテレワーク人口を倍増し、就業者人口の2割とする目標を策定している。各省庁はこの枠組みのもと、テレワーク普及/推進のための施策を打ち出しているほか、国家公務員のテレワークの試行実験を全府省を対象に実施している。
このように、政府がテレワーク推進の取り組みに力を入れるのには、少子高齢化対策のほかにもさまざまな理由がある。青木氏の話では、昨今、労働者の間に仕事と私生活の両立を意味する"ワークライフバランス"という価値観が広がり、それに寄与するものとしてテレワークのような柔軟な働き方が社会的に評価され始めているというのだ。また、地域活性化や環境負荷軽減の観点からも注目を集めている。
しかし、テレワークのさらなる普及拡大にはまだまだ課題が残っているのが現状のようだ。講演の最後に青木氏は「テレワークは毎日行うものだとか、人事評価が不利になるという思い込みや、コミュニケーションの不足、長時間労働に結びつくのではないかという不安などが経営者、雇用者両方の側に存在する」と指摘し、そうした誤解を払拭するための広報活動を今後も積極的に行っていき、テレワークの普及に努めたいと抱負を語った。