ARMのマルチコアプロセッサが登場
組み込みシステムの世界でも、複数のプロセッサコアを1チップ化したマルチコアプロセッサが注目を集めている。その背景には、ハイエンドの組み込みシステムにおいてプロセッサのクロックアップによる速度向上が頭打ちになりつつあることが挙げられる。パソコンやサーバなどの情報系コンピュータと比べて、組み込みシステムは消費電力や発熱量などの制約がはるかに大きい。そこで、複数のプロセッサによりプログラムを並列処理させ、クロックを上げることなく実行効率を向上させるマルチコアプロセッサに期待が集まっているのだ。
代表的な組み込みシステム向けのマルチコアプロセッサとして、英ARMが発表した「MPCore」が挙げられる。MPCoreはARM11コアを4つ搭載し、対称型マルチプロセッサ(SMP:Symmetric Multiple Processor)、非対称型マルチプロセッサ(AMP:Asymmetric Multiple Processor)の各構成、およびその混在が可能な本格的なマルチコアプロセッサである。今年(2007年)10月にはNECエレクトロニクスが、このMPCoreを搭載したカーナビゲーションシステム向けのシステムLSI「NaviEngine」を発表した。
つまり、組み込みシステムでもマルチコアプロセッサの導入がいよいよ本格化しつつあると言える。