一方、米Dellのエンジニアリング担当副社長 リック・ベッカー氏も、投資予算の多くが既存シテスムの維持に費やされている現状を懸念する。「企業においては、IT投資の67%を、5年前、10年前、20年前に構築したシステムの維持に使っている。それを打開するためには、シンプル化が必要であり、ITを迅速に配備し(GET IT FASTER)、ITを効率的に運用し(RUN IT BETTER)、ITを賢く展開する(GROW IT SMARTER)ことが必要だ。ITを迅速に配備するという点では、適切なサーバ、ネットワーク、ストレージなど統合していくことが必要。また、ITの効率的な運用には、VMWareを活用することで仮想化を推進し、サーバ統合と移行をシンプル化する。また、ITを賢く展開していくという点では、業界標準のものを使う、ということが大切だ。レガシーシステムは、導入は容易かもしれない。しかし、明日のビジネスの変更には柔軟性がない。明日を見据えた賢い利用という観点では、標準システムの選択しかない」とした。
デルでは、「仮想化」「システム管理」「セキュリティ」「システム化されたデータ・情報管理」「電源・空調」といった5つの観点からシンプル化に取り組んでいるという。さらに、これに、来年以降、本格的に展開していく「ユニフィァイドコミュニケーション」を含めると6つの領域から取り組むことになるという。
「これらの要素を、工場段階でソリューションとして組み合わせて提供する。組み合わせの選択肢は広く、OSだけを見ても、Windows Server、LinuxやSolarisも提供でき、仮想化技術としては、VMWareを提供するなど幅広い。導入したいタイミングで、必要なソリューションを導入することができる。そして、そのためにスキルを持った営業部隊が、迅速に提案し、システムを稼働できるようにしている。デルは、最も多くの選択肢を用意し、ベストな解決案を提供することができる」とした。
また、デルが提供したSimplify ITによる導入事例を紹介。マツダの事例では、80台のサーバを5台に統合し、システム管理工数を38%に削減したほか、新生銀行では、レガシーシステムからのリプレースによって、ビジネス状況の変化に伴うシステムの柔軟な変更を可能にするとともに、コストを10分の1に削減するなどの効果が出たことを示した。
さらに、2008年前半に投入するブレードサーバ製品などにも言及。「これまでに5万4,000人月もの時間をかけ、19個もの特許を出した製品。最高の価値を提供することができる。また、シトリックスとは、プロビジョニングサーバーを用したオンデマンドデスクトップストリーミングを提供し、ITのシンプル化に基づくフレキシブルコンピューティングソリューションを実現する。これにより、データセンターのサーバを、簡単に早く、管理することができようになる。日本でも来年発表できる。こうした製品によって、ユーザーは、時間と予算を削減し、機器の管理に時間をとられないで済むようになる」とした。