デルは11月29日、東京・赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京において、「Dell Enterprise Showcase 2007」を開催した。デルが掲げる「Simplify IT(シンプルなIT)」を実現するための戦略、製品、サービスについて紹介。経営課題の解決に成功した企業の事例を紹介するイベントだ。
午前10時から行われた基調講演では「シンプルであることがもたらすITシステムの新たな夜明け」をテーマに、デルのジム・メリット社長、米Dellのエンジニアリング担当副社長・リック・ベッカー氏のほか、EMCジャパンの諸星俊男社長、インテルの吉田和正共同社長、マイクロソフトのダレン・ヒューストン社長が登壇。それぞれの立場からシンプル化のメリットを訴えたほか、パートナー各社の日本法人首脳が、デルとのパートナーシップの強さを印象づけた。
デルのジム・メリット社長は、冒頭、デルの業績の好調ぶりや事業を拡張していることに触れ、「年間600億ドルの売上高を達成し、成長率は業界で一番となっている。また、サービス事業も伸張しており、60億ドルの規模に達した。ブラジル、インド、ポーランドで新たな工場を操業する一方、企業買収や小売店を通じた販売ルートの開拓、システムインテグレータとのパートナーシップの強化により、販売機会を増やし、事業ポートフォリアを拡大した。日本においても高い成長を遂げており、社員は2,700人、売上高は30億ドルに達した。日本市場向けの製品開発も開始したほか、サービス、ソリューションといった領域に対しても、日本市場向けに迅速な対応を開始した。デルは、製品、サービスにフォーカスした会社から、顧客にフォーカスした会社に変わっている」などとし、「来年前半には次世代のブレードサーバを投入し、仮想化技術をこれらすべてのサーバに標準搭載していくことになる」とした。
また、Simplify ITの考え方にも言及した。メリット社長は、「データ量は今後4年間で4倍になり、2010年にはそれが988エクサバイトに達する。また、今後5年間でネットワークに接続される機器は、過去15年間に接続された機器の数よりも多くなるというように、ITを取り巻く環境は大きく変化する」と前置きし、「今は"複雑性のトルネード"が発生している」と位置づけた。複雑性のトルネードでは、サービス、アプリケーション、デバイス、コンテンツ、ユーザー、ITの多様性、データ、トラフィックといった要素が絡み合い、これによってもたらされるITシステムの複雑化が、戦略的投資を妨げたり、企業の成長力や競争力の弊害になっていることを指す。
IDGのCIOマガジンの調査をもとに、「日本企業のIT投資は、いままでになく増大し、2007年は過去最大になると予測されている」と指摘。「だがIT部門にはおいては、やらなくてはいけないことと、やっていることにギャップがある。IT部門が期待されているのは、戦略的な投資であるのにも関わらず、予算の70%が維持に費やされている。これを逆転し、新規投資に振り向ける必要がある。そのためには、IT環境やプロセスをシンプル化していく必要がある。ITプラットフォームは岐路に立たされている」とした。