AIAでは、具体的にはOracle Fusion Middlewareを基盤とし、ERPやCRMなどの業務アプリケーション統合機能をパッケージ化した「プロセス統合パック」、13日に発表されたばかりの「AIA Foundation Pack」、そして金融/製造/小売など業界別のベストプラクティスを文書化した「業種別リファレンスモデル」を提供している。とくに「プロセス統合パック」はSiebelやPeoplesoftといったOracle製品だけでなく、競合他社製品の連携も図っていくという。すでに今回のOOW 2007ではAIA for SAPが発表されたが、Saleseforceへの対応も近いうちに行われるはずだ。

なぜわざわざ他社製品にベネフィットを与える機能を? との質問にオーブルホアン氏は「Oracleはテクノロジとソフトウェアの両方をもつ数少ない企業で、ミドルウェアから業務アプリケーションまですべてを提供できる。だから全部Oracleで揃えてもらえたら、それが一番嬉しいには違いないが、実際には顧客の環境はさまざまでSAPやSalesforceを使っているところも多い。重要なのは顧客が何を使っているか、ではなく、何をしたいか、だ」とした。Oracleへの全面リプレースを提案するより、今顧客がもっているレガシーを上手く統合するソリューションを提供するという同社の判断は、たしかに現実的な解といえる。

他社製品との連携を進めていけば、今度は業界全体の標準化を求める動きが出てくるだろう。標準化団体にAIAを提供するようなことはありえるのだろうか。オーブルホアン氏は「その可能性を否定するつもりはない。だが、現時点ではまだクリティカルマスが足りなすぎる。もっと導入事例を増やし、顧客の反応を知る必要がある」とし、即答を避けた。

そもそもSOA導入のメリットは「つながる」ことそのものよりも、それによって柔軟なシステム変更ができ、コスト削減が可能になるところにある。Oracleの強みは、Fusion Middlewareという成熟したミドルウェアを基盤にできるところだ。最終的な目標は「内製アプリケーションも含めたすべてのヘテロジニアスな環境をSOAでシームレスに統合すること」(オーブルホアン氏)。過渡期のブリッジともいえる"プラクティカルなSOA = AIA"でもって業務アプリケーション市場での優位性を確保したいところだ。