OFM、AIA、Fusion ApplicationはどれもSOAを活用するもの

これだけではピンとこない方も多いだろうから、もう1つの側面から見てみよう。Oracleはポートフォリオを統合する次の3つの戦略を提供している。OFM、AIA、Fusion Applicationだ。

  • Oracle Fusion Middleware
  • Application Integration Architecture
  • Oracle Fusion Application

この3つの戦略は、名前こそ違えど、基本的にはSOAをベースにして構築された統合化戦略だ。技術の粒度や視点が違うだけで、そこで貫かれている基本概念や技術はSOAのそれとまったく同じだ。SOAプラットフォームとしてOFMがあり、その上にAIAとFusion Applicationがある。

粒度や視点、対象とする人材の違いが戦略の違い

OFMは粒度の細かいパーツの集まりで、ポートフォリオ統合の最も低レベルな基盤となる。対してAIAはOFMよりも粒度が粗く、既存のパーツを組み合わせてアプリケーションを統合することに主眼が置かれている。OFMよりも実際に何をするかといった粒度が粗いパーツを組み合わせる形だ。

Fusion ApplicationはAIAをさらに発展させたもので、比較的粒度の粗い汎用目的のパーツを組み合わせて新しいアプリケーションやシステムを開発することに主眼が置かれている。Fusion Applicationは現在開発されている最中で、2008年末までのリリースが予定されている。

  • OFM - 粒度細かい、統合インフラの基盤、エンジニア向け
  • AIA - 粒度大きい、汎用パーツを組み合わせる、アプリケーションを連携する、CFO/ユーザ部門の責任者/工場長向け、Apps Unlimitedで提供されるアプリケーションや他社アプリケーションを統合する
  • Fusion Application - 粒度大きい、汎用パーツを組み合わせる、新しくアプリケーションを開発する

要するにFusion Applicationは、SOA上に用意されたWebアプリケーションのパーツを組み合わせて新しいアプリケーションを開発するものだ。AIAとFusion Applicationは同じパーツサブセットで開発されている。つまり同じようなものではあるが、視点が違っている。

ポートフォリオの統合をより具体的に表現した戦略がAIA

OFMは、いわばレゴブロックのようなものだ。いかようにも組み合わせ可能なパーツを使って巨大なシステムを作り上げることができる。ちょうど、ブロックで自動車を構築するようなものだと考えればいい。

AIAはもうちょっと視点が上位になる。ブロックで構築された部品を使って、ほかのブロックで開発されたマテリアルを接続するものだ。ブロックで開発された自動車を連結する、ブロックで開発された連結器、といったところだ。

Fusion Applicationはブロックで開発されたパーツ集のようなもので、ブロックで開発されたタイヤやエンジン、シャーシ、筐体といったパーツがたくさんあるといったイメージになる。

いずれもすべてブロックであるには違いなく、それぞれに接続性がある。違うのは粒度や目的だ。つまりOracleは、OFMというポートフォリオ統合化プラットフォームに、より目的に特化したAIAとFusion Applicationという視点を追加したわけだ。

これは同社が買収したプロダクトの統合を真剣に進めていることの象徴であると同時に、同社の提供している統合化プラットフォームを使うことで実際にフレキシビリティの高いアプリケーションやシステムを簡単に構築できることを証明するチャレンジでもある。

AIAは今後同社のプレスリリースで多用されるとともに、ほかのベンダからも同じような概念で違う名称が使われるといったことがありそうだ。その場合、また新しい3文字略語かと敬遠せずに、本質を見極め、確実に理解しておきたい。