Oracleは2007年第2四半期からアプリケーションの統合を実現するひとつの要となるキーワードとして「Application Integration Architecture」、通称「AIA」を使っている。経営層や技術者たちは「また言語明瞭意味不明な3文字略語が登場した」と頭を抱えるかもしれない。しかし心配することない。AIAはSOAの上に構築されたひとつの形に過ぎず、言ってしまえばSOAだ。AIAを理解することは、同ワードを提案したOracleがどういった方向へ進もうとしているかを理解するいい方法でもある。ここではOracleの事業戦略も絡めてAIAが何を意味しているかを説明する。

Oracleのポートフォリオ活用戦略はOFMとApps Unlimitedの2つ

まず、ここ5年間でOracleが採ってきた戦略のおさらいをしたい。同社はエンタープライズに要求されるすべてのソリューションを提供し、必要に応じて情報を接続しナレッジへのアクセスを提供できるトータルベンダになるべく事業を推進してきた。具体的には企業買収によるポートフォリオの拡充であり、獲得したポートフォリオを活用するためのソリューションの開発だ。

獲得したポートフォリオを活用するために同社が採った戦略が次の2つだ。

  • Oracle Fusion Middleware
  • Applications Unlimited

OFMはSOAのもとにサービスを統合するインフラストラクチャを提供するもので、買収したポートフォリオの結合を実現するプラットフォームとなる。Applications Unlimitedはアプリケーションそれ単体でも開発やサポートを提供するもので、既存の顧客への対応とアプリケーションを単体で活用したいという顧客向けの戦略となっている。

OFMとApps Unlimitedは同社の取り組みを代表する戦略だが、これまでこの2つの戦略を結びつけるものがなかった。AIAはこの2つを結びつける仕組みだ。AIAを使うことで、OFMやSOA対応で開発されたプロダクトと他社のプロダクトをシームレスに統合できるようになる。