--日本でのBIをどうみるか

日本のBI市場は、北米、西欧に比べ、かなり後れを取っている。全世界のIT投資において日本が占める比率は6-7%だが、BIについては1-2%にすぎない。BIには小額の投資しかされていない。日本での状況をみると、70-80年代はレガシーに多大な投資をしており、90年代半ばになって、ようやく、新たな世代への投資を始めたというところだろう。

--BIについて、日本と欧米とでは何が異なるのか

BIが北米で発展し、日本での普及が遅れているのは、意思決定のためのプロセスがまったく異なるからではないか。BIが意思決定にどう影響するか。これを理解してもらうことが重要だ。

意思決定の仕方は、各国ごとにまったく異なる。日本では、現場から上司へ、分析結果や推奨技術の報告が上がってくるといった感じだ。それに対し、欧州の場合は、プロセスが広く、上からも下からも、どちらからの流れもある。一方、米国はトップダウン型だ。北米では、利用者が企業の上層に位置するため、普及が早かったのだろう。

もっとも、BIは本来、いずれのタイプにも対応することが可能な技術だ。意思決定が遅い場合、プロセスに原因があるのではなく、データが正しいかどうか判断することに時間がかかっているケースが多い。データを抽出し、多角的に分析して、その結果、当該データが正しいということを知らせる、それがBIの仕事となる。情報を集約し、共有することの大切さを理解してもらえれば、上からであれ、下からであれ、意思決定のプロセスに関係なく、利用されるようになるだろう。

--日本での販売向上策は

日本市場には3,000を超える顧客がいる。まだ数は少ないものの、すでに先進的な使い方をしている例もある。これから先、そうした利用例が知れ渡れば、日本でも急速にBIの採用が伸びていくと思っている。

一般に、BIに着手するには、まず、ERPなど、業務プロセスを効率化するソリューションを採用していくべきだろう。ERPは、ビジネスのプロセスを標準化するものとして設計されている。プロセスを変革することで、必ず利点を得られる。ただ、ERPは意思決定のために設計されているものではない。意思決定に携わる層は、ERP関連のデータだけでなく、幅広い視点からのデータをすべてを分析しなければならない。BIは、投資を価値にしていくものだ。

当社における日本市場での売上げは、大手向け、中小向けがほぼ半々だ。ただ、企業数で言えば、3分の2が中堅(1,000億円規模以下)である。中堅以下の企業には、単なるレポートツールとして導入されている例が多かった。だが、本来、BIとは、さまざまなデータを引き出して、分析し、仕事に活かすことにより、高い投資対効果が得られるものだ。2008年は、中堅以下の市場に対し、いっそう注力していきたい。どのあたりに焦点を絞るか、いま、検討しているところだ。東京、大阪以外の地域も狙っている。