SaaSに参入して1年、何が変わったのか?

オラクルが本格的にSaaSを展開してから1年になるが、手ごたえを感じはじめている。今までになかった使い方も見られる。単なる改善ではなくプラスアルファを求めるような案件が出てきている。(1企業あたり)5-10ユーザーといったところは、改善を目指しているわけだが、一方には、1,000まではいかないが、100を超えるユーザ数の例もある。SaaSは「ちょっと便利なもの」と受け取られる域を超えてきた。人的リソースをさらに投入して、加速のループに入れたい。

従来なかったような用途としては、内部統制への適用が挙げられる。ルール通りのオペレーションができるようにすることを考えている企業が、内部統制強化のために活用する。内部監査があると、企業は証明責任を問われるため、システム運用の履歴を保存しなければならない。他のSaaS型システムでは、データセンターの容量が足りず、過去の履歴を十分にもてないものもあるが、「Oracle Siebel CRM」は、営業管理の機能で、履歴をくわしく追跡できるので、これを業務管理に使いたいとの要望があり、内部統制の一環となった例がある。信用性が特に重んじられる企業がこのように利用している。特に、金融系の企業では、金融商品の説明が必ず求められ、営業活動の履歴は不可欠になる。

内部統制への対応は、(SaaS導入の)良いきっかけになる。SaaS導入の意欲について、独自調査したところ、内部統制強化のためにパッケージを利用したいとの声が多く、全体の40%に上った。内部統制をするには、ビジネスプロセスの管理が重要になり、パッケージのよさが理解されてきた。パッケージの認知度が向上されれば、SaaSにも良い影響がある。この調査では、大手から中堅まで、売上げ100億円以上を対象とし、300社から有効回答を得た。かつてのASPでは物足りなかったのではないかと思われるが、当時(2001年ごろ)と比べ、いまでは、SaaSに載っているアプリケーションは格段に質が良好になり、完成度が高くなっている。パッケージのビジネスを拡大すれば、SaaSもそれにつれ伸びるだろう。SaaSが伸びれば、パッケージも成長する。