マイクロソフトは9日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで「マイクロソフトデベロッパーフォーラム」を開催した。国内ISVなど、約70人のソフトウェア開発者/学生を対象に、「マイクロソフトの目指すソフトウェア開発の方向性(Building the Next Wave)」について、米Microsoftのスティーブ・バルマーCEOが説明。さらに開発者とバルマーCEOとが意見交換が行われた。
フォーラムで用意されたタイトルは、「Microsoft's 2020 vision of technology」。「"2020"には、約10年先を見据えた技術ビジョンという意味とともに、米国では"視力1.0"を指す。つまり、よく見えているという意味合いがあり、将来の洞察や、先を見越すという意味も持たせた。バルマーが、将来のMicrosoftがどう考えているのかを、開発者に話をしたいのではなく、開発者と話をしたい、ということで今回のフォーラムを企画した」と、マイクロソフトでは説明する。
約1時間15分のフォーラムのうち、バルマーCEOの講演は約30分。残りの時間を開発者との質疑応答に費やした。
冒頭、スティーブ・バルマーCEOは、「今後10年間のイノベーションを考えると、開発者の力なくしては成しえない。先日、開発者のトップの200人に、5年、10年先にどんな可能性があるのかということを聞いてみた。出てくるのは5 - 10項目程度だと思っていたら、70項目も出てきた。イノベーションは開発者によって生まれる。私は、開発者のことを大切に思っている」と切り出し、「デベロッパー、デベロッパー、デベロッパー」と3回繰り返してみせた。
さらにバルマーCEOは、「変化はこれからもますます加速する。インターネットも表面を掻いただけで、まだ始まりの段階にある。ソフトウェアは、ITpro、エンタテインメント、ビジネスプロセス、クラウドなど、6つの領域で進化し、コンピューティング環境の抜本的な変革が起こる。同時に、開発者はより高度なセマンテックレベルの開発が求められることになるだろう」とした。
現在のプログラムレベルは、秘書に「出張の準備してください」といった場合に、部屋のドアを開けて、机の何番目に文書が入っているかを指示して、それを見つけだして、鞄に入れてくれというところまで指示しているのと同じだ、とバルマーCEOは指摘する。
「人間はもっと高いレベルで表現する。運用面を考えずに、何をやりたいかということをプログラムでも実現する必要があるだろう。しかし、ここではモデルをどう記述するか、どんなプログラミング言語になるのか、データセンターでこれをどう自己管理するか、といったことも課題になるだろう」とした。