ライバルたちをどう見るか

2005年当時は一人勝ちだったYouTubeだが、現在ではDailymotion、GUBA、Stage6、ニコニコ動画など多くの競合サービスが出現している。日本におけるニコニコ動画の圧倒的な人気はYouTubeとしても見逃せないはずだ。

Rizzo氏はこれらに対して「ほかの会社もYouTubeが超えてきた難問を超えてこなければならないだろう」と苦笑しながら答えた。「YouTubeがまだ小さかったときはメディアから注目されなかったが、インフラストラクチャが大規模になってきてからは注目されるようになった。また、多くの難関に突き当たり、そのたびに苦労して乗りきってきた」という。まだほかのサービスはYouTubeほどは大きくない。YouTubeクラスまで成長したときは同じ問題に当たるはずだというわけだ。

Rizzo氏は、少々ではあるが日本語ができる。ニコニコ動画を試してみたことはあるかと聞くと「使ったことはある」と述べ、「右から左に一斉に"w"マークが飛び出てきて、『なんだこれは!』と驚いたことがある」と面白そうに話した。

日本はYouTubeが大きく成功している国のひとつ

「日本はYouTubeは大きく成功している国のひとつ」だそうだ。「日本の場合、日本語対応する前から多くの利用者がいた」という。ほかの国の状況について詳しいことは分からないが、ローカル対応したあとにユーザが一気に増えることが多いのだという。日本語化される前からユーザが多かった日本でさえ、日本語化のあとに一気にユーザが増えている。

YouTubeは2007年6月に日本語を含めた9ヶ国語に対応した。こうしたローカライズはGoogleの翻訳チームの力も借りている。同チームの力を借りない場合はエンジニアが調べて対応させている。「もし下手な日本語があれば、それは僕が書いたものだ」とRizzo氏は笑っていた。

ローカライズ対応する前と後でユーザ数が一気にかわる点については、英語の段階ではそもそもサービスを知らなかったり、または母国語化されていないために使う気にならないユーザが多いのではないかと分析しているようだ。「現在ではすでに米国内からのトラフィックよりも国外からのトラフィックの方が多い状況だ。ローカライズは今後YouTubeが発展していくうえで重要なポイントになる」という。

Googleの検索ページは100を越える言語に対応している。Googleの提供している関連サービスではそこまでの対応は無理にしても、30を越える言語は必須対応言語だそうだ。「社内に同言語を理解できる人材がいない場合はボランティアにお願いすることもある」という。YouTubeもGoogleの力を借りてローカライズ対象を増やしていくだろう。