筆者: 私は自分でも、ブロガーとしては初級レベルであまり影響力も持っておらず、企業から見たブログの広告価値は低いように思います。こうしたブロガーにとっての、コラブロのメリットは?
東氏: 現在のコラブロには、解析結果を基にして作成された、カテゴリ毎のブロガーのランキングを見ることができる機能があります。記事の内容まで解析して、記事の傾向が「近い」ユーザのランキングを作成するというのは、今のところ他では提供していない機能ではないかと思います。
そして、自分が軸足を置いているカテゴリーにおいて、ランキングが自分より上のブロガーはいわば「ライバル」ですよね。どういったライバルがどういうブログを書いているのか。それを簡単に参照できるのがブログビギナーにとってのメリットと言えるでしょう。ライバルのテクニックを盗みつつ自分のブログの価値を高めていく、というわけです。また、ランキングを上げるためにブログをより頑張って書こう、というインセンティブが働くというメリットも挙げられるかと思います。
筆者: 実は私が利用しているブログサービスは、JavaScriptを使用できないのでブログパーツを張ることができません。こうしたユーザが受けられるメリットは?
東氏: それについては、しっかり対応していかなければならないと思っています。当面は、ブログパーツ以外の案件を充実させ、スカウトメールのバリエーションを強化することで、そういったユーザにもコラブロのメリットを享受していただきたいと思っています。もちろんできるだけ早く、たとえばそういったブログサービス事業者に提携をお願いするなどして、全てのユーザに等しくサービスを提供できるようにしていきます。
筆者: クチコミeditaというサービスも提供していらっしゃいますね。こちらもブログをベースとしたサービスだそうですが、連携などは考えていらっしゃるのでしょうか?
東氏: はい。実はコラブロは、クチコミeditaのサービスを展開する上で苦労した点が発想の原点になっています。クチコミeditaは、企業からの要望を受けてブロガーの記事を束ね、新たなメディアを効率的に作成するというサービスですが、一番苦労したのは企業のニーズに合うブロガーを集める部分でした。そうした経緯もあるので、もちろん連携は考えています。
筆者: 最後に、開発者として聞きます。Web APIを公開することで他のサービスとのマッシュアップを可能にする、と言ったことは考えていらっしゃいますか?
東氏: ポータルを提供している企業向けに、そういったものを公開する事はもちろん考えています。それだけではなく、一般の開発者の方々に使っていただけるようにすることもよく話題になりますよ。
最後に
インタビューはここで終わりであるが、最後にこぼれ話を一つ。
今回の記事で例としてお見せした解析結果は、実は筆者のブログについてのものだ。インタビューにあたり、この解析結果を東氏に見ていただいたところ、「かなり良い結果が出ている」とのことで、初級ブロガーだと自認するあまりマジメに解析結果を見ていなかった筆者は、その場で驚きを隠せなかった。確かに、五段階のランキングの中で四つ星を獲得している。
この結果については、「筆者のブログの専門性が高い」ことが一因に挙げられるという。確かに、IT技術に関連したことしか書かないようにしているため、専門性が高いと言えば、そう言えなくもない。これに関連して、興味深い話を聞かせていただいた。
実は、ここが米国だとしたらコラブロのようなサービスは必要ないだろう、と言うのである。
米国では、専門に特化したブログが数多くあり、企業がそうしたコンテンツを束ねたいと思った場合、比較的簡単にブロガーを特定できるのだという。しかし、日本でブログと言えば「Web日記」的な使われ方が大半で、有用なコンテンツは数多くあるにも関わらず、それが様々なカテゴリの記事の中で埋もれてしまっている状態だというのだ。
コラブロを用いれば、そうした記事全てを解析したうえで、ブロガーの大まかな傾向を知ることができる。コラブロというサービスは、そうした日本のブログ事情なしには生まれ得なかっただろうし、このサービスによりブログがマーケティングのツールとしての価値を高める可能性は大いにある、と筆者は感嘆した次第である。