いまだ固まらない産業としての土台
CNNICの統計によれば、昨年末までに中国のインターネット利用者数は1億を超え、サイト総数も70万に達したという。インターネットの発展と社会情報化の加速が、ネット業界の繁栄を促進し、情報産業の支柱となっている。「草の根」と呼ばれる個人サイトは、インターネット業界の発展過程において最も革新性のあるコロニーで、ネット産業発展の重要な牽引力となっている。
インターネット時代始まりのころ、中国の経済先進地域にいた若者たちはアパレルや軽工業など輸出志向型の従来ビジネスに没頭し、新しいビジネスチャンスに目を向ける暇もなかった。しかし、やがて一部のITエリートたちが、時代の流れに乗り遅れまいとスタートをきった。中国には「逐浪網」という文学サイトがあるが、成長期の数年間にそのアクセス数が徐々に上昇、最も多い時で1日のアクセス数が1,000万を超えた。結局、逐浪網は数百万元の価格で在南京の某ベンチャーキャピタルに買収された。
しかし、グラスルーツのITベンチャーの通弊か、自由奔放、率直の裏返しともいえる散漫さも手伝い、個人サイトの発展には確固たる道筋がなかなかつかず、産業としての土台が固まっていない。投資についても、情熱こそ有り余るほどあるが冷静さが足りず、かつ資源が限られているため、一部のサイトはいまでも「生死の境目」でさまよっている。
資金や技術の面で大きな課題
個人サイトの誕生は、元来は純粋な楽しみや趣味であったかもしれないが、ある程度のアクセス数が見込めるようになると、ビジネスに敏感なサイト管理者たちは、ある種の電子商取引ができないかと考え始めた。
例えば、「中国手機在線(中国携帯オンライン)」。これはすでに数年間運営されてきた携帯電話情報サイトだが、サイト管理者の曽毅氏は一貫して一人でこのサイトを運営、2004年にはかなりの収入を得ていた。しかし、この典型的な個人サイトも、現在では迷惑サイトの犠牲となっている。Google、百度など検索エンジン大手が公表したいわゆる「迷惑サイトブラックリスト」には、こうした措置をとっていないサイトまで入っていたのだ。これに対し、百度はある公開声明で、「ブラックリストに載せたのは、これらのサイトが例外なく百度検索エンジンの『アンチ迷惑サイトルール』に違反し、検索結果番付の上位に入ろうとしたから」とその立場を明らかにしている。
中国でも個人サイトの数が日々増殖しているが、サイト管理者の年齢は18-25歳までがほとんどで、サイト管理者の規模も通常2-4人まで。個人サイトは資金面の困難に直面するだけではなく、市場開拓の難度も大きい。また、技術面においても幾多の難関が待ち受けている。したがって、個人サイトは他者との協力を通じ、自らの問題を解決していかなければならないのだ。
資金面の問題が、何にも増して事態の容易ならざることを教えている。以前はサイト管理者が個人的趣味で何年間も経験を重ねてからサイトを立ち上げていたが、現在は、多くのサイト管理者が初めからベンチャー投資を望む。資金難に直面した時に資金協力を求めるのは至極当たり前だが、多くの個人サイト管理者にとり、「ベンチャー投資」など、夢のまた夢だ。
さらに、業界内の一部の不正行為は市場との協調により、徐々に規範化されるかもしれないが、外部からの冷たい空気が個人サイトの生存をより難しくしている。最近個人サイト管理者の間でけたたましいほど噂されているのが「33号令」だ。信息産業部発のこの最新規定により、経営性のないサイトはことごとく現地の通信管理部門に登録しなければならず、サイト管理者は一定期間の講習を受けなければならなくなった。期限内に登録しなかったサイトは最高で1万元までの罰金が取られる。このことからも、中国の個人サイトが今日いかに困難な状況に置かれているかがうかがい知れるのである。