スクリプトの実行

それでは、早速IronRubyを使ってみよう。プログラムの本体は%IRONRUBY_DIR%\bin\release\rbx.exeになる。これをコマンドプロンプトから引数なしで実行すれば、Rubyのシェル環境が起動する。以下は簡単なHelloWorldスクリプトを実行した例である。

> rbx
IronRuby Pre-Alpha (1.0.0.0) on .NET 2.0.50727.832
Copyright (c) Microsoft Corporation. All rights reserved.
>>> puts "Hello World!"
Hello World!
=> nil
>>> exit

>

もちろん、ファイルからスクリプトを実行することもできる。通常のrubyコマンドと同様、以下のように引数にスクリプトのファイル名を指定して実行すればよい。

> rbx HelloWorld.rb
Hello World!

現時点ではまだプレアルファ版なので最低限の機能しか実装されていない。どのような機能が有効になっているかは、%IRONRUBY_DIR%\tests\ruby\builtinsフォルダを見ると分かる。このフォルダにあるのはIronRubyに実装された機能のUnitTest用のスクリプトなので、ここでテストされている機能は利用できるというわけだ。

また、将来的にはIronRubyLibs.dllのような形でいくつかの便利な機能がスタンダードライブラリとして提供される予定だという。

Windows Forms、WPFの利用方法

さて、IronRubyは.NET Framework上に実装されているため、WindowsのネイティブGUIライブラリである「Windows Forms」を利用することができる。以下に示すのはウィンドウ上にボタンをひとつ配置するGUIスクリプトの例である。

require 'mscorlib'
require 'System.Windows.Forms'

form = System::Windows::Forms::Form.new()
form.Width = 200
form.Height = 150

button = System::Windows::Forms::Button.new()
button.Text = "Hello IronRuby!"
button.Width = 150;
button.Height = 50;

form.Controls.Add(button)
form.ShowDialog()

Windows Formsを利用するには、1、2行目のように、requireで'mscorlib'と'System.Windows.Forms'の使用を宣言する。

通常は'System.Windows.Forms'だけをrequireしておけば大丈夫だが、WPF(Windows Presentation Foundation)などを使う場合には、以下のように完全なアセンブリ名を指定する必要がある。

require 'System.Windows.Forms, Version=2.0.0.0, Culture=neutral, PublicKeyToken=b77a5c561934e089'

rbxコマンドでWindowSample.rbを実行すると、以下のようなウィンドウが表示される。

IronRubyの開発はまだスタートしたばかりであり、まだ実用レベルには程遠いが、ソースがオープンにされたことで多くの開発者からのフィードバックが期待でき、今後大きく発展するかもしれない。Lam氏自身もライブラリへのコード提供を歓迎すると述べている。またDLRを搭載したSilverlightでも動作するようになるとのことなので、クロスプラットフォーム環境への対応にも期待ができる。