PDF、Flash、AIRを活用する開発/運用プラットフォーム

こうした基礎技術をそのまま使ってシステムを開発するとなると開発作業は煩雑になるが、アドビではそれに対応したプラットフォームも用意している。それが、Adobe LiveCycleだ。今年6月には、新版となる「Adobe LiveCycle Enterprise Suite (LiveCycle ES)」が米国でリリースされており、今夏には日本版(Adobe LiveCycleにおいて初の日本語版)が登場する予定である。

GUIによる開発

LiveCycle ESは、上記のようなPDFソリューションの実行/開発基盤で、GUIによるプロセス定義によってシステムの骨格を自動生成することができる。上で紹介してような「電子データ+紙ベース」の2重のワークフローも比較的容易に実現することが可能だ。

また、LiveCycle ESでは新たに、Flashアプリケーションの開発フレームワークであるFlex、およびその開発環境であるFlex Builderへの対応がなされている。これにより、LiveCycleで構築できるオンラインシステムの表現力が格段に向上するうえ、同一のソースからボタン1つでHTML、PDF、Flashアプリケーションを出力できるようになっている。さらに、ユーザーが変更を加えたFlashベースのフォームをそのままPDFに変換するということも可能なため、例えば、ログインユーザーが自分の申請書をカスタマイズしておき、それを紙とオンラインの両方で使用できるようにするといったソリューションも簡単に実現できる。

Flex 3/AIRに対応

LiveCycle ESは、現在β版が提供されているFlex 3とAIRにも順次対応していく予定だ。特に、次世代クライアント技術として注目が集まるAIRに対する開発者の期待は大きい。ただし、AIRに関しては現在のところ、業務アプリケーションにおける活用法に関しては有効な解がほとんど提示されていない。この点についてワトコット氏は、AIRのオフライン性に注目し、次のように答える。

「AIRを使用することで、オフライン環境でも利用可能なWebアプリケーションを作成することができる。この点は、外回りが多い営業社員などに対して好影響を及ぼすはずだ。外出先の営業社員はオフライン環境に身を置くことになるため、現在のように業務システムがWebアプリケーションとして構築されていると、ノートPCを持ち歩いていても入力作業が行えない。しかし、AIRのようにオフラインでも処理を行える技術が組み込まれれば、取引先で話を聞きながらデータを入力し、その場で取引伝票を完成させることができる。作業の効率化に役立つはずだ」