10個のCore 2 Duoプロセサを搭載した「BOSS」

このカーネギーメロン大学のTartan Racingチームは、ロボットの権威であるWilliam " Red" Whittaker氏が率いている。そのうえGeneral Motors(GM)やCaterpillar、米国の大手自動車部品メーカであるContinental、それからIntel、Googleなどがスポンサーに付いている。これらのスポンサー企業は、金銭的援助だけではなく、機器やエンジニアを提供して支援しており、Ferguson氏もそのような形でIntelから派遣されたエンジニアである。

Tartan Racingチームの車はChevroletの「Tahoe」で、コンピュータ制御のブレーキシステムはContinental、制御コンピュータはIntelが提供したものである。そして、この車には「BOSS」という名称が付いている。これはGMの研究部門のボスであるCharles F. "Boss" Kettering氏にちなんで名付けられたという。

発表によると、IntelはBOSSの開発に必要なCore 2 Duo搭載のワークステーションを提供した。また、このBOSSの主要制御コンピュータはCore 2 Duoプロセサを10個も使用したブレードシステムであるという。

発表では、BOSSの走行テストのビデオも上映された。4way Stop(全方向が一時停止になっている交差点)で一旦停止し、先に交差点に到着した車がある場合は、道路交通法に従ってその車を先に行かせ、少し後から来た車が強引に通ろうとすると譲るという模範的な走行だった。また、三角コーンの障害物を避けてスラローム走行を行うテストでは、速度を最大にしたところで1つのコーンに接触してしまったが、全体としては無人とは思えないほどの上手な走行だった。

このBOSSを始めとする自動運転する車が11月3日に予定されているUrban Challengeでどのような走行を見せるかは、これからのお楽しみである。自動運転に取り組んでからわずか3年目で市街地走行まで漕ぎ着けたのは驚異的である。

もちろん各種の天候条件で、歩行者の飛び出しなども含めて安全性を確認するのには時間が掛かるし、現状のセンサやコンピュータでは一般に普及するほどの価格は実現できないだろう。そのほか多くの改良が必要になると考えられるが、半導体を含む技術の進歩は速いので、意外に早い時期に自動運転する車が実用化されるかもしれない。

人間のドライバがいなくても、指定した目的地まで安全にドライブしてくれる車ができれば、飲酒運転などの心配がなくなる。そして何よりも交通事故死の大部分を無くすことができるかもしれない。また「子供を学校まで送ってちょうだい」と車に言えば、親は家事をしたり、仕事に出かけたりしても良い。自宅と駐車場が離れていても、自宅の前まで送ってもらって、車に駐車場に戻って待機していろと指令すれば良い。

このような車が現状の車と大差ない価格で販売されるとすると、大きな需要を呼ぶと考えられる。自動車や半導体、そしてEDA業界はこの分野の発展に深くコミットしている。