2007年5月21日に、ニフティ、アットネットホームと行動ターゲティング広告の運用・販売における共同展開を発表するなど、ネット広告に力を入れ始めたNECビッグローブ。ネット広告市場の現状をはじめ、同社が運営するポータルサイト「BIGLOBE」におけるネット広告の今後の展開などについて、同社執行役員でポータル事業部長の下島健彦氏に話を聞いた。

NECビッグローブ ポータル事業部長 下島健彦 執行役員

--現在のネット広告サービスのラインナップや現状はどのようなものなのでしょうか?

弊社に限らず、世の中のポータルサイトというのは、次の4種類に分類することができます。

まず最初は、いわゆる入り口となる"ポータルページ"で、Yahooのトップページなどが代表例です。次に"検索ページ"と"ジャンルサイト"があります。ジャンルサイトというのは、例えばBIGLOBEでいうと、BIGLOBEマネーなどのジャンル別に構成されたサイトがこれにあたります。そして4つ目は、ニュースとか天気とか、ブログサイトなども含めた、"その他一般のページ"が挙げられます。

これらに対して、それぞれ象徴的な広告のラインナップが存在するわけです。ポータルのページの代表はバナー広告。このページはアクセスそのものは非常に多いため、ビジュアルとしても訴求力のある広告を出すというのが広告商品としてのひとつの手法なのです。次に、検索ページの代表はリスティング広告、ジャンルサイトではバナー広告やコンテンツ連動型広告が代表的です。広告主にとって、ジャンルサイトはサイトやさらにはサイトの中のコンテンツまでを特定して、その内容に関連の深い広告を出せるので、高い広告効果が期待できるのです。

ところがこれに対して、その他一般のジャンルをどう扱うべきかで、実は媒体主も広告主も困っていました。というのも、これに該当するサイトは、ページビュー(PV)数では他を突出しています。BIGLOBEに限らず、世の中全体でも、ポータル、検索、ジャンル、その他一般の比率は、大雑把に8:12:30:50ぐらいだと思います。とはいえ、ポータルページというのは、ウェブページ全体のボリュームでいうと、ページ数自体は1割に満たない程度ですが、その1ページを非常に多くのユーザーが見ているので、多くのPVを稼ぎ出すことになるわけです。例えば、Yahoo!のトップページは1枚しか存在しないけれど、PVはおそらくポータルサイト全体の1割になるでしょう。そして、検索ページにおけるリスティング広告というのは、視聴者がなにかを探しているまさにその瞬間なので、ここへの出稿は誘導率が高くなります。今、リスティング広告が勢いよく伸びているのもそういう特性に起因しているのです。しかしながら、検索の回数や、検索が繰り出すページ数というのはやはり1割程度なので、広告価値は高くても、ボリュームはそれほど多くないわけです。それから、ジャンルサイトは、ボリューム的には3割程度なのですが、嗜好がはっきりしているので、高い広告効果が期待できます。

そして、ここでいちばんの問題となるのは、その他一般のカテゴリーです。というのも、膨大な5割ものボリュームがありながら、ニュースや天気など嗜好性の分析のしようがないページがほとんどです。さらに典型的な例としては、ブログの存在が挙げられます。しかし、ブログは延べの閲覧ページ数のトータルが甚大なので、広告主や媒体主は、ここをうまく利用することが課題になっているのです。

そこで、これに対する全く別のアプローチというのが、今回BIGLOBEが導入した、行動ターゲティング広告です。これはコンテンツの中身はまったく関係なく、そのページにアクセスする人の検索行動を分析して、それに合わせて広告を配信するというやり方です。検索サービスやジャンルサイトはもちろん、同時にブログサイトのような嗜好性が判別しにくいコンテンツサービスも運営しているBIGLOBEとしては、行動ターゲティング広告に力を入れたいと考えています。実は、行動ターゲティング広告の技術自体は以前から存在していましたが、業界的にもそろそろリスティング広告に代わるものを仕込んでいかなければならないという動きがあるのが実状です。ここに来て、同じタイミングで複数の企業が行動ターゲティング広告に参入し始めたのは、そういった事情もあるのです。

--ブログへの広告配信が今後のネット広告のカギのひとつだと思いますが、具体的にはどのような展開があるのでしょうか?