JR東日本はこれまで鉄道空間情報として、線路平面図や停車場平面図を電子地図化した鉄道用GIS(地理情報システム)「鉄道GIS」を構築し、デジタル化された位置情報として図面管理や設備の保守管理業務などで活用してきたが、この「Google Earth & Railway」は鉄道事業者はもちろんのこと、各分野の電子地図と組み合わせることで、鉄道分野以外の幅広い分野での活用が期待できる。その可能性は利用者のアイディアひとつでいくらでも広がるだろう。現在は業務用のみの展開だが、「使用できる範囲を限定して、観光目的などで一般公開される可能性は多いにある」(小林氏)という。

「Google Earth & Railway」の今後だが、まずシステムの拡充については、年内はイコノス衛星画像を日本全国にくまなく貼り付けて整備いきたいとのこと。写真の入れ替えはいずれは1年ごとに行うのが理想とのこと。線路の全国的な「完全整備はJR各社の電子化スケジュールと相談し、いずれは達成したい」そうだ。私鉄各社がそれぞれ自社の電子データをレイヤーとして販売し、これらを重ねあわせることでよりパーフェクトな3次元日本地図を目にする日はそう遠いことではないのかもしれない。さらに「駅やビルの中のデータも埋め込む計画もある」(小林氏)という部分にも注目したい。JR東日本が持つ膨大な資産をIT化し、「Google Earth & Railway」に埋め込めばその分、さらに活用事例が増えていくに違いないからだ。

最後に。現在はあくまでも業務ベースで販売されている「Google Earth & Railway」だが、ここまで精巧な地図をただ眺めているだけでも非常におもしろいのだから、俯瞰からの鉄道の旅をぜひ好きな角度、高さから楽しませてほしいものだ。10月オープンの鉄道博物館など、一般ユーザーが実際に自分の思うがまま「Google Earth & Railway」の旅を楽しめたら、それだけで楽しいはず。今後の展開に大いに期待したい。

ジェイアール東日本コンサルタンツのご厚意により、動画像を提供していただきました(多謝)。まさにPC上で列車の旅をしている感覚に浸れます