アイエニウェア・ソリューションズが提供するSQL Anywhereは、こうした現状を踏まえて開発されており、数ある組込みDBの中でも「使いやすいデータベース」(森脇氏)だという。その理由として、氏はインストールやメンテナンスの簡単さ、そして同期設定の容易さを挙げた。
インストールには10分もかからないといい、パッケージに組み込むとすれば、パッケージのインストーラにライブラリを登録すればインストールが完了してしまう。また、SQL Anywhereの別のバージョンが混在していても、特にそれを意識することなく正常に稼動する。「IT技術者は、DBのインストールに時間がかかって当然と思っているかもしれないが、SQL Anywhereに関してはそんなことはない」(同)という。
DBの機能は、さまざまな部分が自動化されている。たとえば、起動はアプリケーションからの接続時に自動的に行われ、接続が閉じられたら自動的に停止する。データの断片化も自動的に解消される。電源が突然遮断されても次回の起動時に自動でリカバリーされる。こうした数々の自動化により、本来の業務で忙しいエンドユーザーの手を煩わせずにDBを稼動させることができる。
また、データの移行は、データフォーマットが統一されているために、異なるプラットフォーム間でも1つのファイルをコピーすれば完了してしまうという。設定パラメータも他社製品に比べて少なく、パフォーマンス・チューニングも自動的に行われるため、森脇氏が「コンサルタントとしての仕事がなくなってしまうのではないか」と危機感を表すほどだ。逆を言えば、それこそが、本来の業務を優先したいエンドユーザーにとって有難い特徴と言えるのではないだろうか。
データの同期については、同梱する「Mobile Link」を介して直接センターのDBに接続し、1回の処理で分散DBとのデータの同期が完了するセッションベースで行われる。また、同期させる項目は、GUIツールによってカラム単位で容易に設定できるという。もちろんSQLによる、より柔軟な設定やスキーマ変更への対応も可能だ。
最新バージョンでは、マテリアライズド・ビューやパラレル・クエリなどの新機能が追加され、「期待に応えるチューニングを提供できるだろう」(森脇氏)と自信を示している。製品単体でフェールオーバーが可能になるなど、高可用性も強化された。開発者には無償のDeveloper Editionが提供されているので、興味をお持ちの読者は一度試してみてはいかがだろうか。