テクニカルセッションと展示会

半導体テクノロジの進歩につれて、それに伴う要求が次々と出てくるので、EDAツールの研究や開発にも終わりがない。このようなことを背景として、DACのテクニカルセッションでは、プロセスの微細化がさらに進むであろう将来のLSI設計について、どのような問題が予見され、どのような対処が必要になるのかといったことを主題とするものが多い。

一方の展示会場では、各ベンダが最新のツールの展示やデモンストレーションを行い、エンジニアなどの来場者にツールの有効性を積極的にアピールする。そのため、来場者にとっては多くのツールを一度に見たり比較したり、業界動向を把握したりする良い機会になっている。

EDA業界の3大ベンダの1つであるCadenceのブース

EDA業界の3大ベンダの1つであるSynopsysのブース - 本展示会で最大規模のブースとなった

初日のようす

DACは4日から開催されているが、テクニカルセッション(論文発表)については翌5日から本格化する。初日は半導体プロセスの微細化に伴う素子ばらつきにいかに対処するかというチュートリアルや、マルチメディアシステムの設計法に関するチュートリアルが行われた。なお、展示会は初日から行われている。

今年のテクニカルセッションの特別テーマは、カーエレクトロニクス分野についてだった。それに関連して、主催者(IEEE)のブース「DACパビリオン」には、完全電化のレーシングカーである「X1」のプロトタイプ(Wrightspeed製)が展示された。このプロトタイプは、スタート後、60マイルを3.07秒で走り抜けるという驚異的な加速を誇る。開発元であるWrightspeedによると、製品ではさらなる機能強化が行われるという。

今年の特別テーマに関連して展示された「X1」のプロトタイプ - ナンバープレートが付いているが、これは本物らしく見せかけたニセ物とのこと

DACの入場料は、展示会場のみを見る場合は65ドル。学会に参加費する場合は、IEEEの会員であるかどうかや、早期登録割引を使うかなどにより値段が違うが、だいたい500ドル程度である。出展料は、10×10フィート(ほぼ3m角)で3,050ドル。今回は200社以上が出展しており、小さな会社からCadenceやSynopysといった大きな会社までが出揃っている。

また、論文発表が行われるテクニカルセッションだけでも53もあり、加えてチュートリアルや併設のワークショップなども催される。さらに展示会場にも足を運ぶとなると、たったの5日間ではすべてを見尽くすことは不可能である。しかしこれから数日にわたり、可能な限り面白そうな話題をカバーしていくので、お楽しみに。