データを扱う以上、全体的な印象だけでなく詳しい数値も分からなければ意味がありません。
新しいGoogle Analyticsでは今までと同様、様々な角度から解析された膨大な数値データをみることができるわけですが、利用者が必要としている情報をより明確に伝えるためのデザインが施されています。
データ表にしても、平均値や割合といった情報を大きめの文字を使ってはっきりと記述しているだけでなく、比較値も色を使って明確な形で表示しています。使われている色はサービス全体で統一されており、色によって役割もはっきりしているので、グラフと同様、解析しているサイトの状況を直感的につかむことができるようになっています。以前からあった項目によるデータ表のソーティングも、選択している項目がハイライトされたり、昇順か降順が明確に表示されています。
グラフと同様、データ表におけるインタラクションもシンプルで分かりやすいものになっています。従来のデータ表には矢印のようなアイコンが添えられており、クリックするとサブメニューが表示されるという、その部分だけに適応される特殊な操作方法がありました。さらに、サブメニューの中にある特定のアイテムをマウスオーバーすると、さらに新しいサブメニューが表示されるようになっていたので、すぐに情報にアクセスできるようにみえて、実は使い難い構造になっていました。今回はそういった例外や難しい操作方法を省き、クリックすれば新しいページが表示されるというシンプルなルールに基づいてリンクがあります。
従来はアイコンをクリックするとサブメニューが表示されるようになっていた。しかも「セグメント間のパフォーマンス」にマウスオーバーすると、新たなサブメニューが表示される。マウスの操作に一貫性がなかったという例 |
できる機能は従来とまったく同じなのですが、様々な点で改善されている新版Google Analytics。ソフトウェア、ハードウェアの開発においては、新しい機能をたくさん盛り込むことで、ユーザーにアピールをする場合が多いと思いますが、Google Analyticsはユーザー体験という見え難い価値を盛り込むことで、利用者に新しいサービスをアピールしています。
見た目の印象が変わったので、その変化は気付きやすいものになっていますが、インタフェースデザインだけでなく、ユーザーがどのようにこのサービスを利用するのかという表現し難い部分にまで足を踏み入れ、デザインされているのです。
以前のAnalyticsに慣れ親しんでいた方にとっては、この変化に最初は戸惑うかもしれません。しかし、使い込んでいくうちに、新版の利便性に無意識ではあるものの気付くような工夫がいくつかあると思います。
Urchinの技術力とApaptive Path / Measure Mapの提案するユーザー体験が融合した今回のリニューアル。単にサービスを利用するだけでなく、インタラクションデザインに関わる仕事をしている方は、ぜひ様々な角度からこのサービスを観察してほしいです。