中国網通には革新的な企業というイメージがあるが、その発展と改革の過程には、これまでみてきたような多くの不調和があった。それらは主に、新たな電信ビジネスモデルやその構成と、従来の電信業務とその構成との間の不調和、国際的な資本運営手法と政府による強力な管制との間の不調和、国際的なビジネスチームが抱く業務イメージと旧電信企業の人事構造との間の不調和などであった。中国網通にとって最大の課題は、こうした内部構造に深く関わる矛盾をどう解決していけるか、ということに他ならない。

中国網通は、設立後三年間にわたり、ほとんど絶えず再編を繰り返してきたといってよい。このようなことは、中国の他の電信運営キャリアでは前例がない。調整が仮に網通の経営戦略に起因しているとしても、これほど頻繁に再編を行うようでは、従業員、業務にどれだけの影響と損失を与えるか知れたものではないはずだ。

信息産業部 電信政策研究所所長の陳金橋氏は、「中国網通のIPOが成功した時、網通国際の『国際化の窓口』としての役割は終わる。これまでも、国際化というセールスポイントはあったが、網通の国際化の程度はまだまだ足りず、利益水準も高くない。したがって、網通はその国際業務については今後も整合再編を続ける必要がある」としている。

業界筋は、「国際化は中国網通発展の三大戦略の一つ。国際化するには明確な戦略的目標を定めるだけでなく、順を追って確実に実行していく必要がある。国際化は海外進出をおこない、市場拡大を目指す戦略だが、会社の発展段階、競争力、規模に応じて行わないと、却って厄介な経営問題になる。客観的にみると、(中国の)大手運営キャリアのなかでも中国網通の経営は比較的困難な状況にある。網通には、現段階において、自らのために『学費』を拠出したり、余分なコストを支払う能力はない」とみる。

中国網通は、かつて国際業務で大胆な布石を打ったことがある。アジアユニバーサル電信や香港盈科を買収してアジア網通、網通国際を設立、これにより中国網通は中国大手電信運営キャリアの中で唯一の国際電信ネットワークを有する運営キャリアとなった。網通は国際化の過程において、網通国際とアジア網通に重要な使命を負わせ、一定の基礎を築き上げたが、幾多の組織改組や競合が内部でおこなわれた結果、両者の利益体質は結局さほど高くなかった。

将来を考えると、アジア網通の海底ケーブル、中国網通自身が中国国内から海外へと伝送する資源、電訊盈科が香港を中心に四方八方へ放射する資源などが中国網通の海外業務に大きな発展をもたらしてくれるだろう。網通が本当の意味でのユニバーサルネットワークの優位性を確立した暁には、中国国内市場における網通の競争優勢確立が大いに促進され、国際業務の収益も根本的に改善されるだろう。それゆえに、網通国際の再編が必然的な選択となったのかもしれない。

中国網通は南北に分かれて以来、むしろ苦難の道のりを歩いた。中国国内においては、兄貴分の中国電信から強大なプレッシャーを受け、海外では国際的な大手通信運営キャリアがその市場を虎視眈々とねらう。

先ごろ、中国網通集団欧州分公司ならびに日本分公司が正式に成立し運営を開始したことは、中国網通が長年の苦難を経て、ようやく本格的な業務国際化、積極的攻勢に向け歩みだした一歩と言える。中長期的なスパンで、網通集団がどのように内部の統制を合理化し、市場戦略と資金戦略を手当てしていけるか。引き続き、国内外の注目を集め続けるに違いない。