中国網通集団が先ごろ、欧州と日本でのPOPプロジェクト建設を成功裡に終えた。同時期、彼らは中国網通集団欧州支社および日本分公司を設立している。いまやその国際ネットワークは直接アジア、欧州、北米の電信市場をカバーするだけでなく、これらの大陸間を連結するものとなっている。また、ローミングを通じ、その触覚をオーストラリア、アフリカと南米にまで伸ばしている。中国網通の国際化戦略は、世界に注目されるような段階に至ったといえる。
中国網通の国際化戦略を過去数年の来し方で振り返ってみると、常に順風満帆であったとは決していえない。むしろ、中国網通の国際化戦略は、業界こぞっての非難の中をようやくかいくぐって来た、という感じだ。失敗や挫折も少なくなかったのだ。
最近の海外施策で特筆すべきことは設備メーカーの中興通訊との提携だ。2006年11月9日、網通と中興通訊は提携覚書に調印、海外市場開拓で手を取り合うことで合意した。中国国内の運営キャリアが、初めて設備メーカーと海外市場開拓で協調する決定を下したわけである。覚書では、まず電信業務のコンサルティングサービスなどで具体的な提携をとることになっている。
中国国内の運営キャリアは、これまで主に他の運営キャリアの株式所有権を買収するという資本戦略で海外拡張を図ってきたが、設備メーカーと連携したことはなかった。その前の2005年に、中国網通は中国国内のある設備メーカーと協力してアフリカの運営キャリアにコンサルティングサービスを提供したことがある。今回は中国国内の設備メーカーと共により本格的な海外での共同戦線を張ろうとしているのだ。
一方の中興通訊だが、1997年にアフリカ市場に進出した。その後、現地政府および運営キャリアと良好な協力関係を保ち、迅速な発展を遂げてきた。同社の2006年度中間報告(香港会計準則)によれば、中興通訊は、伝統的に強いアフリカ市場で今年の上半期も安定した成長を保っている。
中興は昨年上半期にアフリカで14.16億元の売り上げを達成しているが、一昨年同期の10.4億元に比べれば順調な成長ぶりが更に際立つだろう。業界筋はその原因の一つとして、今回網通が中興を海外戦略パートナーに選んだことをあげている。
中興は現在、アフリカに、北アフリカ、中西部、南部と三つの地域プラットフォームを設けている。また、アフリカ大陸を網羅する40カ国に出張所あるいは駐在機関を設置、アフリカにおける雇用総数は1,100人を超えており、うち63%が現地社員となっている。多くのアフリカ国家では、いま通信ネットワークの改築拡充ニーズが拡大中であり、また端末を含むモバイル製品のアフリカ市場でのニーズも膨らんできている。順調な外交関係を基盤に、「中国第二位の固定ネットワーク運営キャリア」とのブランドを掲げて乗り込めば、さらなる事業拡張が望める市場なのである。
中国国内の業界筋は、こうした背景を踏まえつつ、網通と中興の提携を、完全にWin-Winの相乗効果を両者とも見込んだ末の動きとして捉えているようだ。