一方で、Yahoo!やGoogleの台頭については、「個人市場では大変有効なサービスであり、中小企業も関心を持っているサービスであるが、IBMがフォーカスしているような大手企業にはメリットがない。データ管理やセキュリティの面での問題があるからだ。IBMが目指しているサービスの対象と、Yahoo!やGoogleが目指しているものとは違うと考えており、彼らはIBMのやっていることを置き換えることはできないし、私たちが置き換えようとも思っていない。IBMは、これから先もこのビジネスを続けていくが、WEB2.0といった領域で、どう情報をどう組み合わせるか、これにより、いかに顧客の価値を高めるか、といった点で彼らと協業していく。すでに、Yahoo!やGoogleとは、企業における検索サービスのひとつを提供するという観点から、パートナーシップを組んでおり、これからもいくつかの協業を発表することになる」とした。
また、IT業界全体の成長が鈍化していることに関しては、「いまや企業では、ITを導入した実績の上で、アプリケーションの導入、システムの構築が行われている。そのため、投資額そのものがスローダウンしているのは当然のこと。21世紀に入り、統合に注目が集まっているのもそのためだ。プロセスとの統合、社内で活用しているシステムとの統合、サプライヤーが提供するシステム、サービスとの統合をいかに行うかが課題となる。日本は、IT先進国であり、成熟した市場であるため、市場全体の成長率は低いが、SOAやIODの分野では、2桁の成長を遂げている。ノーツも昨年は全世界で2桁の成長を遂げた。これらの領域は、顧客が望んでいる領域でもある。これからも高い成長を維持することになる」とした。
なお、OracleがM&Aによって事業を拡大していることに対しては、「Oracleは、アプリケーション領域に対してM&Aを進めており、IBMはミドルウェアの部分で投資を強化している。アプリケーションメーカーとミドルウェアメーカーという差がある。むしろ、Oracleとは協業する部分が多く、競合とも思っていないし、脅威とも思っていない」などとした。