こんにちは。吉政でございます。ここまでの回で、中高年の方が定年後に年収1千万円を目指すための考え方と、そのビジネスモデルの例を解説しました。
第3回目なる今回は、安価で高機能なサービスを実現しようとした場合、利益が出なくなってしまうことがあるため、仕組みで利益を作るための方法について解説します。
以下、仕組みで利益を作るために筆者が実施した内容を7つに分けて説明していきます。基本は、売り上げにならないことやお客様のメリットにならないことを全てやめることから始めました。
(1)Draft納品という仕組みを構築
当社は原稿を納品したり、企画を納品したりなど、何らかのものを制作して納品するのが仕事です。その時に無駄なやり取りで多いものは、納品物の修正依頼でした。ひどいものになると「てにをは」の1文字を修正してほしいという「戻し」でした。
これは割と多い話で、この軽微な修正のために、お客様は文章を考え、当社に修正依頼をいただきます。当方はそのメールを見て、修正し、返信します。そのやり取りに1日はかかりますので、1日分のロスになります。もし、お客様が自由に修正して進められたら、お互いの工数を削減できますよね。
そこで当社は「当社のサービスは原則、Draftの状態で納品します。軽微な修正はお客様にお願いします。それゆえ、当社のサービスは低価格の設定ができています。大幅な修正が必要な場合のみ、書き直しの依頼をお願いします。軽微な修正の作業を当方で行う必要がある場合は別途お見積もりいたします」と最初の提案書に記載しています。
この説明をすると多くのお客様は驚かれますが、この形式で進めるとスピーディーになるため、評価いただくことが多いです。当社が競合他社の半額以下でサービスを提供できているのはこういう仕組みがあるからです。
Draft納品の副産物としては、お客様が丸投げと言われなくて済むようになったこともあります。当社のように何らかの制作を行っている会社の窓口となるお客様は、たまに社内で「XXXさんは、業者に丸投げしている」といったことを言われることがあります。しかし、Draft納品にすることで、お客様側でも修正しますので、自社の成果物としての側面も持つようになります。お客様との良いチームワークにもなります。
(2)議事録の廃止
当社はお客様に議事録を提出していません。議事録はお互いに作るのも読むのも手間であり、あまり活用されません。当社は、会議資料にそのまま書き込む形で、議事録を残しています。会議の際に議事進行を潤滑にするために何らかの資料を作ると思いますが、会議の議事内容を直接その電子ファイルに書き込みます。
そして、次回の会議は、その書き込まれた会議資料を基に議事を進行します。つまり、会議資料も最初に作る1回のみで、あとはそのファイルに書き込んで進めていきます。会議が終了したら、それを共有フォルダに起こして共有完了です。
(3)電子メールの廃止と承認は「いいね」
電子メールでのやり取りは承諾を得るにも、以下のようなやり取りが発生します。
XXXX株式会社 XXXX様
いつもお世話になっております。
吉政創成の吉政でございます。
以下の件ですが、承知いたしました。
・XXXXXXXXXXX
・XXXXXXXXXXX
作業が終了し次第、提出いたします。
引き続きよろしくお願いいたします
これでもかなり簡素なメールですが、Slackなどのビジネスチャットを使用することで、「いいね」ボタンや「承知しました」ボタンなど、場合によっては一言「承知しました!」で済むので、かなり簡素になります。意思が伝達すれば済むので、これで十分だと思います。また、CCも減るので、不要なコミュニケーションも減ります。
(4)社内コミュニケーションの廃止
コロナ禍もあり、今では当たり前になってきましたが、当社は創業時から100%リモートワークを採用しています。スタッフは現在13名います。プライベートで会話しても自由ですが、業務のコミュニケーションは極めてシンプルになるように設計しています。
例えば、分業する場合、作業が終わったスタッフは次のスタッフにビジネスチャットで「いつものところにアップしました!」のみで済むようにしています。これで済むのはスタッフに単一業務しか依頼していないからです。また、メールマガジンは、本文を書く人、コラムを書く人、Webサイトにアップする人、それぞれ自身の担当業務のみ行っています。
(5)業務のレシピ化と作業単価給の採用
業務の手順がレシピとして作られています。ただ、レシピ自体は鉄の掟ではなく、自身で自由に改善できます。一方、業務の対価は時間給ではなく、作業給にしています。
これにより、スタッフが自分自身で効率化に取り組む、結果として無駄がなくなって時間単価が上がるような仕組みにしています。なお、品質だけはチェックするようにはしています。