point three
充実の拡張性、動作安定志向の設計を感じる内部構造

「DAIV Z7-QR4」の外観だが、ミドルサイズであるタワー型ケースの面構えはとても立派である。大きさはW190×H490×D490(mm)で、小さすぎず、大きすぎずの丁度いいサイズ。通常はデスクの下、足元に置く場合が多そうだが、ブラックの本体には相当な存在感があるので、机の上に置けば「仕事ができるプロの人」感を存分にアピールできそうである(笑)。

フロントマスクはとてもシンプル。最上部にマイク端子、ヘッドフォン端子、USB3.0端子×2を備えるのみ。印象的なシルバーのつまみは音量つまみではなく、電源スイッチだ。ここがデスクトップ型DAIVのアイデンティティなのだろう。

  • シンプルなフロントマスクの上段だが、実はメッシュ上のカバーとなっていて、容易に外すことが可能。外すと現れるのが、3つの5.25インチドライブベイだ

  • 本体右側面

  • 本体左側面

今やこのドライブベイを埋めるPCは少数派となった印象もあるが、本機では拡張性の一環として装備している。実際の制作現場ではCD/DVD/ブルーレイメディアを焼いたり、はたまたダビング作業も想定されるため、3基もの5.25インチドライブベイを備えているのだ。

今回試用した評価機には装着されていなかったが、カスタマイズ時に「DVDスーパーマルチドライブ」(DVD±R DL 読み書き対応)や「Blu-rayディスクドライブ」(BDXL読み書き対応)の搭載を選択することができる。

ケース内部を開けてみると、中は結構広い。前面側には3.5インチサイズのドライブ・デバイス・スロットが6基あり、拡張性は必要十分だ。うち1個は、最近では珍しいフロントへ通せるオープン型。いまどきフロッピーディスクドライブを付けることはもはやレアケースだろうが、このドライブサイズの市販のSDカードリーダーや追加USB端子をここに装着するのもありかもしれない。なお、2.5インチドライブベイはなし。

NVMe SSDは、グラフィックスカードの直下を避けた場所にあるスロットに搭載されており、グラフィックスカードから出る放射熱を避けるレイアウトであることに感心した。また、本体側面の排気ファンの位置も、排気流がグラフィックスカード周辺を抜けていく構造となっているのもよく考えられている。排気ファンは後面側にもあり、かなり廃熱に気を配った設計となっている。

どちらも汎用12cmサイズでなんらかのトラブル時には交換もできるはず。排気ファンが多い割には高負荷な際にも動作音はそれほどうるさくはならない。もちろん、動作しているなぁという感じの「フー」という音はするが耳障りなほどではない。

それと、何気に便利だったのはケース後部の下側に車輪が組み込まれているところ。ケース前面上端の取ってを持って斜めにしてやればこの車輪が回って、旅行トランクよろしく、スルスルーっと楽ちんに移動ができるのだ。ちょっとした移動や、本体裏側の背面にアクセスしたいときなどには使い勝手が良い。DAIVはクリエイターの意見を元に作られているので、それがこういうところに現れているのだろう。

point four
かなり凝った作り……! 「DAIV」シリーズと相性ばっちりなEIZOモニター

現在「DAIV」シリーズのグラフィックスワークステーション製品では、画質に高い定評を持つEIZOブランドのモニター製品を合わせて購入することが可能だ。

  • 今回、筆者の元には「ColorEdge CG279X」が送られてきたので、DAIV本体と組み合わせて使っていた

液晶パネルは日本では人気の高いノングレアタイプのIPS型を採用しており、色域はAdobe RGB色空間カバー率99%, DCI-P3色空間カバー率98%を誇る。また、PQやHLGのようなHDRフォーマットにも対応しているため、最新の映像制作に対応できるポテンシャルを持つ。加えて、キャリブレーションセンサーをモニターの筐体に内蔵している点も注目ポイントだ。

実際に使ってみて面白かったのは、設定した輝度値や色域を超えた映像が入力された際には、その箇所をリアルタイムにマーキングして表示する機能。これは一般的な民生向けモニターにはない機能で、色調整や階調調整を行う作業においては重宝しそうである。

映像入力端子はHDMI、DisplayPortの他、最新のDisplayPort Alternate Modeに対応したUSB Type-Cや、制作現場では未だニーズが高いDVI-D端子も備えている。USBハブ機能はUSB 3.1 Gen 1: Type-A x 2、USB 2.0: Type-A x 2の4系統を備える。

かなり凝った作りだが、映像制作現場向けということで、サウンド機能については一切搭載されていない点には留意したい。内蔵スピーカーもなければヘッドフォン端子もない。

参考までに、筆者手持ちの色度計でBT.709モードとPQ_BT.2100モードにおけるカラースペクトラムを計測してみたので計測結果を示しておく。

  • BT.709モードにおけるカラースペクトラム

  • PQ_BT.2100モードにおけるカラースペクトラム

さすがお高いモニターというだけあり、RGB(赤緑青)のスペクトラムピークは鋭く分離具合もよい。みるからに色域が広そうだ。なお、公称標準輝度は350nitとのこと。HDR時のピーク輝度は非公開となっていたが、テストした感じでは局所的には600nitくらいは出ていそうであった。ちなみに、モードの色域・輝度などの値は、内蔵のセンサーを使ってキャリブレーションでき、常に経年変化を補正できる。

point five
手厚いアフターサポートもマウス製品のウリ

性能的には申し分なしの本機だが、将来性にも優れていることも触れておこう。

こうしたメーカー製ワークステーションでは、ケースの構造やパーツの組み付け等が特殊な場合があるのだが、本機の場合は問題なし。今後、メモリの増設はもちろん、CPUの換装やグラフィックスカードの差し替えなどについても問題なく市販品が利用できる。コンテンツ制作者においては、比較的頻度の高いストレージデバイスの増設についても、前半で述べたようにかなり多くのドライブベイがあるので、現実的な範囲でたくさんのHDDやSSDを組み込めるはずだ。

  • ただ、内部構成を大きくいじった場合は、メーカー保証の適用から外れる点には留意しておきたい

それと、メーカー保証といえば、「DAIV」シリーズは、手厚いサポートが付けられるので、購入時には検討した方がいい。保証期間は1年または3年が選択可能で、万が一の故障時にはユーザー自身が送料負担で製品を送り返すセンドバック修理保証か、ユーザーの送料負担無しで業者が引き取りにくるピックアップ修理保証、最短当日修理返却の安心パックサービスなどが選択できる。

プロの現場では、新マシンを購入し直してその再セットアップ時間すら惜しいことも多いので、安心パックサービスは強力な味方となるはず。せっかく、メーカー品を購入するのであれば、こうしたサービスの利用も検討するべきかもしれない。

なお、この一連の保証プログラムの契約は、オーダー時にしか行えない。マシン購入後に締結はできないので注意されたし。

■標準スペック

メーカー マウスコンピューター
型番 DAIV Z7-QR4-Z390
CPU Intel Core i7-9700
メモリ 16GB PC4-19200 DDR4
M.2 SSD 256GB(NVMe対応)
チップセット Intel Z390(ATX)
光学ドライブ
グラフィックス NVIDIA Quadro RTX 4000
OS Windows 10 Home 64ビット
LAN ギガビット(10/100/1000)LAN
インタフェース USB 3.1×2(Type-A/背面×1、Type-C/背面×1)、
USB 3.0×6(前面×2、背面×4)
サイズ W190×D490×H490mm
ディスプレイ
※BTOでEIZO ColorEdgeモニターを選択可能
価格 249,800円(税別)~

[PR]提供:マウスコンピューター